*魂の次元*

まず自分が幸せになろう。そして周りに幸せのおすそ分けをしよう。

〈歴史の常識〉に挑戦する変格トンデモ・ミステリ「邪馬台国はどこですか?」をキミは読んだか!?

あなたは「ミステリ」って一体どういう小説のことをいうと思いますか?

のっけから唐突な質問で恐縮です。

鯨統一郎の連作短編小説集「邪馬台国はどこですか?」に狂言回し役として登場する気鋭の歴史学者・早乙女静香なら、

「それに答えるには上下二巻の本を書く必要があるわ」

という答えが返ってくるところでしょうが、ここではクールで常識を超えた主人公・宮田六郎を真似て言うことにして、

「ミステリとは謎解き小説のことさ」

とでもしておきましょう。

なぜそんな話をしているのかというと、「邪馬台国はどこですか?」というとぼけたタイトルを持つこの短篇小説集は、創元推理文庫から出版されているにも関わらず、常識的には到底ミステリとも推理小説とも呼びようのない奇妙奇天烈な作品だからです。

この作品の舞台は「スリーバレー」という名の小さなバー。そこで在野の歴史学者・宮田六郎が、常識に挑戦する突拍子もない奇説を展開して、ほかの三人の登場人物を煙に巻く、というのが全編を通して共通する単純明快なパターンの短篇集なのです。

日本古代史が専門の大学教授・三谷敦彦は落ち着いた聞き手役、お人好しでちょっとおとぼけのバーテン松永は、宮田の奇説に納得する役回り、そして気鋭の若き歴史学者・早乙女静香の毒舌全開の突っ込みが話を盛り上げます。

というわけで、この「人も死ななければ、事件も起きない」不思議なミステリについて、これから「できる限りネタバレ無し」で紹介してみたいと思います。
(内容について触れるだけで、一種のネタバレになりますので、各短編タイトルから分かる以上のことは、極力触れないようにしております)

収録短編を一挙紹介!

さて、この「歴史謎解きトンデモ短編集」に収められた作品のタイトルを、まずは眺めてみることにしましょう。

  • 「悟りを開いたのはいつですか?」

「どんな人物が、どんなふうに、いつ」悟りを開いたのか、まず読む前に想像をたくましくしてお楽しみください。

  • 邪馬台国はどこですか?

表題作であり、文献を丹念に読み解き続けるだけで、「あっ」という結末を導き出す「ケッ作」です。

  • 聖徳太子はだれですか?

最近では「聖徳太子はいなかった」という説も唱えられていますが、果たして聖徳太子は「だれ」だったのでしょう?

  • 謀叛の動機はなんですか?

日本人なら誰でも知ってるあの「謀反」は、なぜ起こったのか。
歴史「探偵」宮田六郎が、心理学を駆使した華麗な謎解きで、あなたを唸らせます。

  • 維新が起きたのはなぜですか?

維新が起きた理由を説明するには、もちろん「上下二巻の本を書く」必要がありますが、日本の近代史のターニングポイントであるあの「革命」が、ある一人の人物の「奇術」によってなされていたとしたら...... びっくり仰天しちゃいますよね。

  • 奇蹟はどのようになされたのですか?

世に奇跡の種は尽きませんが、世界的にも有名なあの「奇跡」をなんとも合理的に「説明」してしまう、宮田六郎の華麗な文献読み解き術をお楽しみあれ!

─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
☆ここでちょっと一休み、<スポンサード・リンク>です。



─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─

小説としての面白さと限界について一言。特に女性の読者の方への注意点

この短編集の第一の魅力は、なんといっても

  • 常識をちゃぶ台返しにする、奇想天外でトンデモな「真説」を、
  • 詳細な文献の読み込みと、アクロバティックな議論によって「もっともらしく」説明するところにある

といって間違いないでしょう。

そのとき、大変残念なことなのですが、登場人物の設定と、その間での言葉のやりとりに関しては、「十分にうまくいっている」とまでは言えません。

もちろん「トンデモな謎解き」だけで、完全に楽しく読めますので、謎解きが好きで、歴史にも興味のあるあなたには、蝶おすすめ作品です。

ただし、一つだけ注意点があります。

というのは、狂言回しの役を果たす「早乙女静香」氏の設定が、かなりアナクロ感漂う、過度にヒステリックな「綺麗なだけで実力の伴わない若手女性学者」となっていることです。

男のぼくでも、このヒステリックな感じは「うるさいな」と思うくらいなので、あなたが「男女の不平等に敏感」な女性の場合には、これはちょっと読んでられないなー、くらいに思われるかもしれません。

1998年に出た短篇集であることを考えると、いたしかたのないこととも言えますが、ここはちょっと残念な点です。

なお、同じく鯨統一郎氏の連作短編集

「新・世界の七不思議」(創元推理文庫 2005)

では、四人の登場人物のうち、存在感が薄めの三谷教授が退場し、新たにジョゼフ・ハートマンというアメリカの学者が登場します。

それによって、会話の面白みがますと同時に、宮田と静香の性格設定も幾分変化して、「邪馬台国......」ほどの違和感は感じることなく読めるようになっていますので、上記のような点が気になる方は、こちらを先に読んだほうが楽しめるかもしれません。

「悟りを開いたのはいつですか?」については、こちらの記事もどうぞ

ネタバレはかまわないので、もう少しどんな内容なのか知りたい、という方は、「悟りを開いたのはいつですか?」について書いたこちらの記事をどうぞ。

http://dimofsoul.mitona.org/entry/2017/02/06/193410

(ただし、こちらの記事を書いた時点では、実際には作品を読んでおらず、ネットから得られる情報だけで書いたため、作品の内容についてはやや不正確なものとなっておりますこと、ご容赦ください)

てなところで、この記事はおしまいです。

それではみなさん、ナマステジーっ♬

☆今回紹介した鯨統一郎氏の作品

「邪馬台国はどこですか?」(創元推理文庫 1998)

「新・世界の七不思議」(創元推理文庫 2005)

f:id:suganokei:20180329123442j:plain

※表紙画像はアマゾンよりお借りしました。

※なお、この作品を知ったのは、夜中たわし氏の記事
歴史トンデモ考察小説『邪馬台国はどこですか?』オーディオブック版感想 - 夜中に前へ
によってでした。

素敵な作品を紹介してくださったたわし氏に末筆ながら感謝感激いたしまーす。

---------------

スポンサーのリンクです