*魂の次元* (by としべえ)

肩から力を抜いて、自由に楽しく生きる。

本の紹介: スティーブン・キング「書くことについて」とマイクル・クライトン「トラヴェルズ --旅、心の軌跡」

みなさん、おはこんばんわ。

この記事では、スティーブン・キング「書くことについて」とマイクル・クライトン「トラヴェルズ --旅、心の軌跡」という二冊の本を簡単に紹介します。

「シャイニング」の原作者であるキングと、「ジュラシック・パーク」の原作者であるクライトンという、アメリカのベストセラー作家二人の舞台裏が覗けるノンフィクションの二冊です。

スティーブン・キング「書くことについて」

キングのこの本は、小説の書き方についてがテーマになっています。

ですから、どちらかと言えばこれは、作家志望の人向けの作品だと言えます。

けれども、前半三分の一程度は「履歴書」というタイトルで自伝的な内容がつづられていますから、作品だけでなく作家に興味を持つタイプのあなたならば、興味深く読めること間違いありません。

想像力豊かだった子どもの頃の話から始まり、売れなくても書き続けた貧乏作家時代、ベストセラー作家になってからの酒とドラッグなしには生きていけなかった苦境など、どのエピソードも心をつかみます。

後半は小説の書き方になるのですが、作家を目指す方でなくても、ここから文章術を学ぶこともできますし、また小説に限らず、人間が表現することの意味を学ぶこともできるでしょう。

そして「後書き 生きることについて」では、この本の執筆中に車に轢かれて九死に一生をとりとめた体験がつづられます。

度重なる手術の結果、再起し、執筆を再開するに至る過程は涙なしには読めませんでした。

書く力を回復したキングはこう書きます。

ものを書くのは、金を稼ぐためでも、有名になるためでも、もてるためでも、セックスの相手を見つけるためでも、友人をつくるためでもない。一言でいうなら、読む者の人生を豊かにし、同時に書く者の人生も豊かにするためだ。

この言葉は、「書く」ということを「生きる」という言葉に置き換えても十分に通用します。

生きるということは、金や名誉や人間関係のためにあるのではありません。あなたが人生を真摯にそして楽しく生きるとき、そのことがあなたの人生を豊かにし、周りの人の人生をも豊かにするのです。

この本を読めば、キングという作家の書くことに対する情熱が、きっとあたなの人生を豊かなものにしてくれるに違いありません。

「書くことについて」 (2013 小学館文庫)
スティーヴン キング
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マイクル・クライトン「トラヴェルズ --旅、心の軌跡」

クライトンの「トラヴェルズ」は、人生という旅を描いた自伝的ノンフィクションです。

この本の最初のエピソード「解剖死体」は次のように始まります。

弓鋸(ゆみのこ)で人間の頭を切開するのは用意ではない。

これはクライトンがハーバード大学で医学生として勉強をしていた時代のエピソードなのです。

ぼくのように血を見ると背筋に悪寒が走る人間には、ちょっと読むのがつらい話が続くのですが、クライトン自身が血を見るのが苦手だというのですから、どうして医学を志したのだろうと、なんとも不思議な気持ちになります。

医学生のうちから小説で金を稼ぎ始めていたクライトンは、医学部を出たものの医師の資格は取らず、そのまま小説と映画の世界に身を投じることになるのですが、この医学部での経験は彼に取ってきわめて重要な「旅」だったのでしょう。在学中に書いた彼の出世作「アンドロメダ病原体」は、医学的なアイディアで成り立つ緊張感あふれるサスペンス小説なのです。

さて、クライトンは映画の世界ハリウッドに関わるようになったことで、スピリチュアルというもう一つ別の世界にも導かれていくことになります。

ハリウッドの女優とつき合い、その女優に霊媒を紹介され、自分が関わっていた映画が今は座礁しかかっているが、じき軌道に乗ることを予言され、その予言は的中します。

その映画「ウエストワールド」の制作がうまくいったとき、クライトンは次に何をすればいいのかが分からなくなり、深いうつ状態に落ち込んでしまいます。

そして関心の持てないまま大量の本を買い、それを読みますが、どれにも興味が湧きません。

そんな状態で彼は「ビー・ヒア・ナウ」という本に出会います。これは元ハーバード大学の心理学教授ラム・ダスが書いたスピリチュアルの古典的作品で、精神的バランスを失っていた一人のアメリカの知識人が、インドの聖者に出会うことで、新しいパースペクティブを見つけたことを語るノンフィクションです。

科学的な思考に信を置くクライトンは、ただちにインドの神秘世界に飛びつくことはしませんが、ハリウッドから距離を取り、ハワイのマウイ島に行っては、スピリチュアルに関わる本を読んで、自分を取り戻していきます。

そしてタイのバンコクを皮切りに世界中を旅し、自分の心の中を旅していく経験をこの本につづったのです。

科学的な思考を大切にしながらも、神秘主義的なものの見方にも心を開いて、自分の経験を観察していくクライトンが、肉体的にも精神的にも続ける冒険旅行は上下二巻の大冊ながら、あなたの心をきっと揺さぶることになるでしょう。

合理性や経済性が優先されがちな現代社会に息苦しさを感じているあなたには特におすすめの作品です。

「トラヴェルズ―旅、心の軌跡〈上〉」 (2000 ハヤカワ文庫NV)
マイクル・クライトン
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