「哲学者というならず者がいる」中島義道、新潮社2007、1365円
最後の二節、「先生、自殺していいですか?」「先生、自殺していいですか?(承前)」は、
死にたい、と思い詰める人間が、身近にいるときに、人はどう対処できるのか、
その限界と可能性が、ひしひしと迫ってくる筆致で書かれていて共感できる。
「スローブログ宣言!」鈴木芳樹(技術評論社)
weblog というメディアは、個人が気軽に情報を発信できるという意味では、なかなか使えるメディアである。
しかし、これを単なる日記以上の、読めるものとして書いていこうと考えると、途端に一筋縄ではいかないことに気づくことになる。
「スローブログ宣言!」は、そのへんのところに関連して、著者の経験をもとに、ある適当な距離の取り方で weblog とつきあう方法が書かれていて、なかなか興味深い。
「がりがりマネタイズしよう」というのではなく、「のんびり楽しくブログを書いていきましょうよ」という感じの本です。
わたしのこの weblog もまだまだ読めるものになっとりませんが、これからボチボチがんばりたいと思います、はい。
「斎藤一人のツキを呼ぶ言葉」清水克衛(三笠書房・知的生き方文庫)
この本は、清水克衛という本屋の店主が、銀座まるかんの斎藤一人の言葉について
書いたもの。斉藤一人は、ダイエット食品「スリムドカン」などを売って、節税
しないもんだから長者番付トップになるような商売上手。
だから、この本は、「金持ちになるためには」みたいな雰囲気で書いてあるんだけど、
どっちかというと、それはよこちょの話で、人生こんなふうに生きた方が楽しいよね、
っていうことが中心になってる。
二百ページちょっとの文庫本だけど、ちゃんと読んでちゃんと実践すれば、これだけでも
ずいぶん人生楽になるかもって本です。
「ハコミを学ぶ」ロン・クルツ
「からだは語る」ロン・クルツ&ヘクター・プレステラ
ハコミ・セラピーないしハコミ・メソッドの、からだに注目しつつ、
相手に寄りそう感じは、好感を持てる。
人間の、子どもの頃からの経験から来る「思い込み」がからだに現れる
というのは、たぶんそうだろうと思うし、それを見た上での働きかけは
うまくやればかなり効くのだろう。
きちんと相手を受け止めて、相手を操作しないといううたい文句は正しいと
思うが、結局は実践する人次第ですね。
「働かないって、ワクワクしない?」アーニー・J・ゼリンスキー(ヴォイス)
この本はアメリカ的な文脈で書かれているから、自由時間をこそ、
たのしく生きましょう的な物言いになっていて、そこんとこはぼくの
趣味とあわないんだけれど、フルタイムで働いて「安定した暮らし」を
するのがそんなに素敵なことだろうか、という投げかけとしては、
確かにそのとおりと言いたくなる。
なにしろぼく、働くのは嫌いなもんで。
いやしかし、最近はこの手の「生きかた」についての本、ほんとに
おおいですね。