発売早々11万部を売って話題になった「錯覚資産本」でおなじみのふろむださんが、
・マーケティングの人材市場からわかる、これから「台頭する人」「落ちぶれる人」の4つの条件 - ふろむだ@分裂勘違い君劇場
という興味深い記事を書いています。
記事の主題はマーケティングの人材のことですが、IT化とグローバル化が進む現代社会で「どんな人材が重視されるか」という話なので、マーケティングに限らず、様々なビジネスの現場において役立つ内容になっています。
これからのビジネスには、
「原因特定解像度、サイクル長、幹への近さ、ローコンテキスト」という4つのキーワードが重要だ、 というふろむださんの主張を、もう少し詳しく見た上で、
打てば響くネットの「高解像度×短サイクル」を使いこなす方法 について考えることにします。
なお、「高解像度×短サイクル」とは、別の言い方をすれば、
「PDCAサイクルの圧縮・高密度化」 とも言えます。
ネットの普及で「原因特定解像度」が「高くて当たり前」の時代が来た。 効果を測る「サイクル長」が短くなることで、新時代のビジネスは加速する。 「幹への近さ=経営感覚」の重要性、あるいは「専門性の落とし穴」 グローバル化する時代だからこそ「ローコンテクスト」の意識によって「文化の壁」を越えていく。 打てば響くネットの「高解像度×短サイクル」を使いこなす方法 ネットの普及で「原因特定解像度」が「高くて当たり前」の時代が来た。 ふろむださんは、
原因特定解像度とは、「マーケ施策の成功・失敗の原因を、どれだけはっきり特定できるか?」ということ。
と説明しています。
マーケ施策に限らず、
何かをやってみたとき、その結果について原因をどれだけはっきり特定できるか、 と一般化できます。
アナログの時代には低かったこの「解像度」が、ネット時代を迎えて「高くて当たり前」になっていることを、ふろむださんは強調するわけです。
例えば書籍を出版するのには、年単位で準備することも普通です。
その書籍が無事に売れたとき、なぜ売れたかの原因を特定することは簡単なことではありません。
ふろむださんの「錯覚資産本」が売れたのは、
ネット上のインフルエンサーの紹介のおかげか 著者がネット上で有名だったからか、 文章が簡潔明瞭だったからか、 イラストがよかったからか、 などなど、様々な理由が考えられる中で、どれが原因として大きなものなのかを特定することは、事実上不可能です。
これが「原因特定解像度が低い」状態です。
それに対してツイッターを使って読者の反応を見る場合、よいツイートをすればフォロワーが増え、ダメなツイートをすればフォロワーが減ります。
また、よいツイート、ダメなツイートの原因も、140文字の中に現れるわけですから、10万文字からなる書籍の場合と違ってピンポイントで原因を特定することも容易になります。
これがネット時代の「原因特定解像度の高さ」の意味です。
これからの時代に有能な人材として評価されるためには、このネット時代の「高解像度」を意識することが重要だと、ふろむださんは言うわけです。
効果を測る「サイクル長」が短くなることで、新時代のビジネスは加速する。 ネット時代のもうひとつの特徴は、施策の効果を測る「サイクル長」が短くなることです。
先ほどの例で言えば、書籍の出版は結果が出るまでに数ヶ月から一年以上もの時間がかかるわけですが、ツイートの場合、一瞬で結果が分かるといっても言い過ぎではないほどです。
現実世界で時間をかけないと分からないことが、ネット上では限定された形であるとは言え、ごく短時間で結果を見ることができるのです。
このネットの持つ特性を上手に活用することができれば、変化の大きなこれからの時代に、極めて有利に働くことは言うまでもないことでしょう。
ふろむださんが「高解像度×短サイクル」をキーワードにするのも、納得がいきます。
「幹への近さ=経営感覚」の重要性、あるいは「専門性の落とし穴」 ふろむださんは「専門性」は枝葉であり、あまりに狭い専門性を追求することは、これからの時代において危険なことではないか、と警告します。
自分の専門とする分野の将来性がなくなったとき、路頭に迷うことになってしまうからです。
したがって、マーケティングのような業務においても、
経営者のように、会社全体を把握し、全体最適のマーケティングを行う
ことが大切だと言うのです。
このように「経営感覚」を普段から意識することによって、
「専門性の落とし穴」を避け、 あまりに狭い専門分野に特化するのではなく、 時代の中で育ってくる新しい分野にも目配りをすることができれば、 多少浅くても幅広い専門性を持つことによって、時代の波に溺れることなく生き残ることができるはずだと言うわけです。
グローバル化する時代だからこそ「ローコンテクスト」の意識によって「文化の壁」を越えていく。 日本の国内市場が縮小していくことが予想される現在、国内に特化した「ハイコンテクスト」なマーケティングではなく、グローバルに通用する「ローコンテクスト」なマーケティングが重要になってくる、という話です。
このこともマーケティングに限らず、島国ニッポンの発想ではなく、世界規模でものごとを考えられる人材が、これからの時代には求められるようになっていくという話ですから、
日常的に、 日本以外の国では、 どんな人が、 何を求めているのか、 といったことにアンテナを張ることが大切と言えましょう。
打てば響くネットの「高解像度×短サイクル」を使いこなす方法 さて、
「幹への近さ」を意識し「経営感覚」を身につけ、 世界にアンテナを向けて「ローコンテクスト」の感覚を養うにあたっても、 打てば響くネットの「高解像度×短サイクル」を使いこなす技術を身につけることができれば、鬼に金棒です。
