10. 左側の動き

いよいよ、フェルデンクライス入門編の最終回である。 今までの項では体の右側だけを動かしてきたわけだが、この項では同じ動きを体の 左側で繰り返し、さらに両側を合わせた動きを練習する。したがって文章の量は 今までより少ないが、体を動かすのに要する時間は、今までが半分弱で、この項が 半分強ということになるので、ご注意を。 なお、この一連の練習に要する時間として、フェルデンクライス自身が目安として あげているのは、慣れないうちは45分くらい、慣れてくれば20分くらいという数字 だが、人それぞれのペースによって変わってくるものなので、自分なりに気持ち よくできるよう工夫してほしい。 それでは引用を([]内は、那賀乃の注釈)。 ○左側の動き 今までこのレッスンでくわしくのべたすべての動きを、からだの左側でくり かえす。 [参照 「あお向け・右腕の動き」「うつ伏せ・右腕の動き」「あお向け・右腕と右脚の動き」 「うつ伏せ・右腕と右脚の動き、そしてうつ伏せと仰向けで右腕・右脚・頭を同時に動かす」] ○対角線の動き からだの左側を使った動きが終わったら、右腕と左脚を一緒に、できるだけ ゆっくり持ち上げ、この動きを25回[はじめは10回ほどでよい]くりかえす。脊椎骨と 肋骨の相互の位置関係の変化を観察し、からだの床につく部分が、片側の腕と脚を 一緒に上げたあとに確認した部分とは全くちがっていることをよくつかもう。 少し休息したあと、左腕と右脚を一緒に25回[上と同じ]持ち上げ、終わったら 休息する。つぎに、両腕と両脚を頭と一緒に、吐く息に合わせて持ち上げる。この 動きも25回[上と同じ]くりかえす。休息をとったあと、頭は床につけたまま、両腕 両脚だけを持ち上げる。 最後にあお向けになり、このレッスンの一番はじめにしたように、かかとから 頭まで、床に接触しているあらゆる部分を観察しよう。生じた変化を、とくに背骨に そってよくつかむこと。 さて、ここまでの練習を実際にやってくれた方には、はっきりと分ることと思うが、 単純な動作の繰り返しを、その動きにしっかり注意を向けながら十分な回数行う ことで、確かに体のあり方が変わってくるのである。ふだん無意識のうちに緊張して 体に不要な力が入り、あるいは長年の癖で体が縮こまったり固くなったりして しまっている、そういった状態が我々の間に見られるごく普通の姿なのだが、その 不必要な力が抜け、縮こまっていた体がすっと伸びて足取りも軽くなる。これが 私がフェルデンクライスをやってみての実際の感想である。 ただし、一人でやっているとなかなかそこまでは行けないのも事実で、この練習法に 興味を持たれた方は、一度実際にレッスンを受けてみるのもよいだろう(たとえば こちらのページ参照。一回二時間3000円なのでそんなに高くはないですね)。私自身は 正規のレッスンを受けたことはないが、知り合いが芝居の稽古に取り入れており、 そこで何人かの仲間とともに動きの指示を受けながらやってみると、これがなかなか 感じがよいのである。 また、それほどしっかりやらなくても、それ相応の効果はある。私の場合、寝床の 中で、手はお腹の横に普通において寝て、肩だけ持ち上げたり、膝だけ持ち上げたり、 適当にアレンジしてやっているが、それでも十分なリラックス効果を感じる。気が 向いたときに自分のやりたいようにアレンジしてやってみるだけでも、続けていく うちにあなたの体に対する意識は確実に変わってくるだろう。 今回取り上げた部分はネタ本のうち、ほんの10ページほどにすぎないが、たった これだけの中にも様々なヒントが詰まっている。それを生かすも殺すも結局は あなた次第である。 というわけで、このページが少しでもあなたの役に立ちますように、そして あなたの毎日が少しでも楽しいものになりますように! [ネタ本「フェルデンクライス身体訓練法―からだからこころをひらく」をamazonで見る]

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前々項ではあお向けになって右腕と右脚を同時に持ち上げる動きを試み、前項ではその 動作によって取り除かれるはずの普段の余分な筋肉の緊張と背骨の縮みについて解説 した。 この項では、まずうつ伏せになって右腕と右脚を持ち上げてみる。では引用を。 ([]内は、那賀乃の注釈) ○どうすれば楽に動けるか うつ伏せになり、両腕を頭上に伸ばして開く。両腕もひろげる。ゆっくりと右腕と 右脚を一緒に持ち上げる。腕と脚を上げるとき、頭の位置に注意しよう。右を向いて いるか、左を向いているか、それとも真下を向いているか。さて吐く息に合わせて、 腕と脚を持ち上げる。まず右頬を床につけて、つまり左側を向いてこの動きを数回 くりかえす。つぎに頬を床につけて、最後に左頬を床につけて、同じくくりかえす。 この三つの姿勢のときに必要な力の量を比較し、どの姿勢が一番やりやすいかを 判断する。多少とも調整がうまくできているからだならば、左の頬を床につけたときが 一番楽な姿勢になるだろう。動きを25回くらい[はじめのうちは10回ほどでいい]くり かえし、床にかかるからだの圧力が、胃の左側の胸と骨盤の間に移動するのが次第に はっきりしてくるのに注意しよう。 うつ伏せのまま、さらに右腕と右脚を先程と同じように持ち上げる動きを続けるの だが、今度は、動きに合わせて頭も持ち上げ、手の動きを目で追うようにする。25回 [前述と同様]くりかえしたあと、あお向けになって休息をとる。次は、あお向けの まま、いまと同じように頭と一緒に右の腕と脚を上げる動きをくりかえす。練習前に くらべて、床に横たわるからだの状態がどう変わってくるかに注意を向ける。一番 強い力がかかるのはどこか正確につかもう。25回[前述と同様]この動きをくりかえして から、休息する。 ○どちらの眼の開きが大きいか 立ち上がってしばらく歩きまわり、からだの右側と左側の感覚のちがい、両腕の長さの はっきりとしたちがい、両脚の長さのちがいを確かめよう。次に顔を調べてみよう。 鏡を見ると、顔の半分が生き生きして、そちら側のしわやひだが目立たなくなり、一方の 眼がもう一方の眼より大きく開いているのがわかる。どちらの眼だろうか。 今までそれぞれの動きのあとに行った点検のときに、からだの片側の腕と脚が、反対 側の腕と脚よりもだんだん長くなってくることに気がついていたかどうか思い出して みよう。からだの左右の感覚の差異を抑えつけようとせず、できるだけ持続させ、次第に 弱まって最後に消えてゆくまで観察を続けよう。悩み事とか極度の緊張のような注意力を 乱す妨害に出会わなければ、この差異は相当長時間、すくなくとも数時間ははっきりと 残る。その時間のあいだ、からだのどちら側の働きがよく、どちら側の働きがなめらかに できるか観察しよう。 さて、この項ではまずうつ伏せになって顔の向きを吟味するわけだが、真下を向いて額を 床につけるのは鼻が邪魔になってかなり苦しい姿勢に思える。こうするかわりに顎の下を 床につけて顔は水平方向に真正面を向いた方が楽かもしれない。 また引用では左頬を床につけ右に顔を向けるのが一番楽なはずと書いているが、わたしの 場合、たぶん首から肩にかけて余分な凝りがあるせいだろう、その向きだと首に無理な 負担を感じてしまう。書かれていることを鵜呑みにせず、自分の体に合わせて試してみて ほしい。 そして、この項のもうひとつのポイント、そしてある意味でフェルデンクライスの最大の 特長とも言えるところだが、ここまで体の右側だけを丁寧に動かして、その変化を見て きた。今回の一連の練習では、ここまでで右側の練習は一通り済んだことになる。ここ までの練習が終わったら、ゆっくり立ち上がり、そしてゆっくり歩きながら自分の体の 様子をじっくり確かめてみてほしい。あなたが体の感覚に敏感ならば、右側と左側の 違いが劇的に感じられるだろうし、そうでなくても多くの人がいい意味でなんらかの 感覚の変化を感じることだろう。 このフェルデンクライスの入門編もいよいよ次回で最終回である。 [ネタ本「フェルデンクライス身体訓練法―からだからこころをひらく」をamazonで見る]

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前項では、あお向けになって、右腕と右脚を動かし、腰椎の動きと背骨の伸びる感じに 注意してみた。この項では背骨の縮みと筋肉の余分な緊張の関係について解説する。 不必要な努力はからだを短縮させる ほとんどあらゆる場合に、筋肉に残る余分の緊張は、背骨を短縮させる原因となる。 動作につきまとう不必要な努力は、からだを縮小させることになりやすい。ある程度の 困難が予想されるような動作にとりかかる際はつねに、その困難にたいする防衛手段 としてからだが縮こまる。まさにからだのこの硬化症こそ、不必要な努力が生ずる原因で あり、からだを動作のために正しく組織するのを妨げるものである。能力の限界を拡げる ためには、執拗な努力を重ねたり、からだをかばおうとしたりすべきではなく、探求と 理解の力によらなくてはならない。 しかも、動作の際のこの自己防衛と不必要な努力は、個人の自信の欠如のあらわれなのだ。 自分の能力にとってはかなり負担になりそうだという意識が生まれると、動作にそなえて 意志を強め、からだを固くするが、実際にはただ自分自身に不要な努力を強いているに すぎないのだ。からだを固めるというこの努力から生まれる動作は、決して美しくもなく 生き生きとしたものでもなく、二度とくりかえす気をその当人にも起こさせないのである。 そういう苦痛の多いやりかたで当面の目的を達成できたとしても、そのために支払うべき 代償は想像以上に大きいのである。 しばらく休息して、骨盤と床との接触状態に生じた変化とともに、からだの左側と 右側の差異をよく観察すること。[引用ここまで] さて、ここで説明されている「筋肉の余分な緊張」であるが、これを取ることが、フェル デンクライスの目標のうち一番わかりやすいものの一つである。この目標のために、まず 横たわって、腕や脚を小さくゆっくりした動作でくりかえし動かす。そして、そのとき、 はじめは、右側の腕と脚だけを動かすことによって、左側の体と比べて、右側の体にどういう 変化が現れたかを確かめる。 ここまでの動きを通して、右側と左側の違いがはっきり感じられただろうか。 ぼんやりとしか感じられなかったかもしれないが、あせる必要はない。自分のペースで ゆっくり練習を続けていけば、そのとき、体に入っている余分な力に気づき、その力を 抜くことも、そのうちできるようになる。そのときあなたは、いままで思いもしなかった 可能性が自分に開けていることに気づくことだろう。 あと2回で、このフェルデンクライスの入門編も終わりとなる。 一日のうちに少しでも時間をとり、練習を続けてみてほしい。 たったこれだれのことでも、あなたの人生は変わるはずである。 (ネタ本はこちら。「フェルデンクライス身体訓練法―からだからこころをひらく」)

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前々項では仰向けになっての、前項ではうつ伏せになっての、右腕の動きを試みたが、 この項では再びあお向けになって、今度は右腕と右脚を同時に動かしてみる。 では、引用を。([]内は、那賀乃の注釈) ○腕と脚を同時に動かす ふたたび両腕を頭上に伸ばし、両手のあいだを開く。両脚も伸ばし、足のあいだも 開く。できるだけゆっくり、右脚と右腕を同時に持ち上げてみよう。ごくわずかな 動きでよく、手の甲とかかとを床から浮かせるだけで充分である。手とかかとが ぴったり同時に床に戻るか、それともどちらかが先に床につくかを、注意して確認 しよう。どちらかが先に床につくのがはっきりしている場合には、そちらが床を はなれるのも先になるのがわかるだろう。この動きで動作をぴったり合わせるのは たやすくない。普通はごくわずかなずれが、腕と脚のあいだに残るものである。 ある程度の正確さを実現するには、息を吐きはじめるときにまず腕だけを持ち 上げる。つぎに息を吐きはじめるときに脚を持ち上げる。そのあとで、吐く息に 合わせて腕と脚を同時に動かす。こうすれば、腕と脚のずれが改善できる。 [この段落は、やや意味が取りづらいが、腕と脚を同時に動かすことを一旦やめて、 まず、吐く息に合わせて腕を上げ、そして下ろし、次にまた、吐く息に合わせて脚を 上げ、そして下ろし、そうしてから改めて、吐く息に合わせ腕と脚を上げて、そして 下ろす、ということだろう] ○背骨の伸展を感じる 今度は、腕と脚を交互に上げる。腕を下したまま脚だけを上げる場合、腰椎が 床から少し浮き上がるかどうか、また、この腰椎の動きが、腕と脚を同時に上げる ときには全然起こらないかどうかをよく確かめてみよう。 腰椎が床から浮き上がるのは、骨盤の前面にくっついている筋肉を使って、脚を 持ち上げているからである。それに背中の筋肉もまた腰椎の浮き上がるのに関係 している。この背中の筋肉の働きは必要だろうか、それとも不必要だろうか。 脚を右へまわす。つまり、股関節、膝、足を右側へ回転させる。そして、脚を そのままの位置[向き]でできるだけゆっくり持ち上げる。脚の位置[向き]を変えた ことで、腰椎の動きにどのような影響が現れるかを観察しよう。次第にはっきり してくるだろうが、もし息をはきはじめる瞬間に、脚と腕を同時に持ち上げるならば、 腹筋と胸筋が一致して働く。すると腰椎は浮き上がらずに、逆に床に押付けられる。 腕と脚を持ち上げるのは、ずっと楽になり、くりかえしているうちに、からだが 伸びるような感じがしてくる。この背骨が伸びる感じは、からだの行動が正しく 行なわれた場合には、たいてい必ず伴うものである。[引用ここまで] この項の前段では、腕と脚を一致させて動かすことの難しさがポイントになっている。 引用文中にもある通り、完全に一致させることは簡単ではないので、そのずれを意識し、 どうすればずれを小さくできるか、じっくり試してみてほしい。 後段では、背骨の伸びと腰椎の動きがポイントである。背骨の伸びはこの時点では 感じられないかもしれないがかまわない。それよりも腰椎が浮き上がるかどうかを よく確かめてほしい。つまり、脚(と腕)を上げたときに、腰の部分が反り上がって 床から離れるだろうか、それとも逆に腰の部分は丸まって床に押しつけられるだろうか。 自分の体がどのように動いているかによく注意し、どうすると腰が浮き上がり、どう すると逆に腰が沈むことになるのか、いろいろ試しながら体を動かしてみよう。 (ネタ本はこちら。「フェルデンクライス身体訓練法―からだからこころをひらく」)

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前項までで、あお向けに横たわり体の様子を確かめたあと、右腕を持ち上げる 動きを繰り返してみた。 この項ではうつ伏せになって右腕を持ち上げる動きをしてみることにする。 うつ伏せになるとき、頭の向きをどうしたらよいか迷うかもしれない。この段階では あまり気にせず、自分の楽な向きでやってみる。 では、引用を。 ([]内は、那賀乃の注釈) ○ゆっくりしたなだらかな動き うつ伏せになって、両腕両脚をさきほどと同じように広げる。右肘を肩でゆっくりと 持ち上げて床から浮かせ(手[手首から先のこと]は浮かせる必要はない)、そこから ふたたび下す。 この動きをいまのべたように行うためには、両腕を頭上で拡げて楽にする。つまり、 両手の間隔が両肘の間隔より狭くなるようにしておかねばならない。 肺から息を吐き始めるときに腕を上げるようにして、動きを続けよう。これを 少なくとも20回くりかえす[はじめは10回くらいでもよい]。ゆっくりとした なだらかな動きをすれば、またそうでなくてはならないのだが、肘は腕の動きに つれて床を「這う」動きをはじめる、つまり、床から浮かび上る前に少し伸びる のがわかるだろう。肘が持ち上り、それにつれて手首を引き上げ始めると、手も 床をはなれかける。 ○余計な力をとり除く この姿勢で手首を持ち上げたとき、手首から先がぶらんとぶら下がる人は滅多に いない。たいていのひとは、知らないうちに手首の伸筋(前腕の外側の筋肉群)を 緊張させているので、手が持ち上って、手の甲が前腕の[外側の]方へそりかえって いる。気をつけているうち次第に、この余計な意図しない筋肉の働きはとり除く ことができる。 そうするには、指の筋肉だけでなく、前腕の筋肉をゆるめなくてはならない。 完全に力が抜けると、手はぶらさがり、掌が前腕の[内側の]方に近づく。そう なると、肘を持ち上げても手そのものはだらんとぶらさがるのである。 ○背中の筋肉を使う この動きをくりかえし、肘と手を含め右腕全体を持ち上げるのだが、そのための 筋肉の努力感が一切なくなり、肩のまわりの筋肉だけがはたらいていると感じ られるようになるまで続ける。肩を床から楽に持ち上げるには、背中の筋肉を 働かせなければならないだろう。そうすれば、肩は肩甲骨と右腕上部と一緒に 床から離れて浮き上がる。 ふたたびあお向けになって休息し、右側と左側で、肩、胸、腕が床に接触する しかたの違いをよく観察しよう。 この項の動きは、あお向けのときとおおむね同様の動きであるが、うつ伏せに なっているため、やや苦しさがあるかもしれない。無理はしないこと。 動きの回数も自分の体に合わせて加減してかまわないし、途中であお向けになって 休みを取り、再びうつ伏せになって動きを繰り返してもいい。 ゆっくりとした小さな動きをこころがけ、一回ごとに動きを止めて一旦力を抜いて から次の動きに入ることを忘れずに。 どこの筋肉に力を入れて動かしているか、余計な力が入っていないか、注意深く 観察しながら動きを繰り返してみよう。 ごく単純な動きではあるが、引用に書かれているとおりにやることは意外と 難しいはずだ。あせらずのんびりと、体の動きを楽しんでみてほしい。 (ネタ本は「フェルデンクライス身体訓練法―からだからこころをひらく」です)

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さて、前々項、前項で、あお向けに横たわり自分の体の様子を確認してみたわけ だが、この項では実際に体を動かしてみる。では、引用を。 ([]内は、那賀乃の注釈) ○一回ごとに新しく動きをはじめる もう一度横たわり、先ほどと同じように両腕両脚を伸ばす。たぶん今度は、 すくなくとも手の甲は床につき、肘と前腕もまたつくかもしれない。そこで、 肩の動きだけを使って、右の上腕を持ち上げ、手の甲がちょうど床から はなれる程度まで、ゆっくりしたできるだけ小さい動きをする。それから 腕を床におろしてそのまま休む。ふたたび手の甲がはなれるまで腕を上げる。 これを20〜25回[はじめのうちは10回ほどでよい]くりかえす。腕を一度上げ 下げしする毎に完全に休止をおき、すべての動きをやめること[したがって 一旦体から力を抜くことになる]。次の動きは、完全に新しい別の動作になる ようにする。 ○呼吸と動きを一致させる 細かい注意を払うと、持ち上げようとして腕を伸ばすとき、手の甲が床に そって少し這うような動きをはじめるのに気がつくだろう。動きを何度か くりかえしていると、動きが呼吸のリズムと一致してくるのがわかる。腕を 伸ばして持ち上げるときは、肺から息が吐き出される瞬間と正確に一致する ようになる。 ○休息して観察する 25回の動きが終わったら、両腕をゆっくりからだの両脇にもってくる。この 動きは少しずつ行うこと。急いでやると、動かしていた方の肩を痛めることが ある。膝を立ててしばらく休息をする。休息のあいだに、からだの左側と右側に どんな違いを感じるか、よく観察しよう。[引用ここまで] 上の引用の通り、動きは単純で小さなものである。ラジオ体操のようなつもりで 行なうと、つい、ただ体を動かすだけになってしまいがちだが、そうならない ように気をつけ、自分の体がどのように動いているかに十分注意しながら体を 動かしてほしい。 はじめのうちは体の動きに意識を向けることが難しく感じられるかもしれないが、 体をゆっくり動かす中で無理のない範囲で自分の体の様子を感じてみよう。 引用文に書かれている通りには感じられないかもしれないが、それはそれでよい。 わたしの場合も、呼吸と動きは必ずしも一致しないが、それでもこの単純な動きを 繰り返すことで、少しずつ余分な体の力が抜けていくのが感じられる。 自分のペースで楽しみながらやってほしい。 このあとは5〜6項にわけて体の動きについて書く予定である。 すこしずつ繰り返して、のんびり付き合っていただきたい。 (ネタ本は「フェルデンクライス身体訓練法―からだからこころをひらく」です)

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前の項では、あお向けに横たわって体の様子を丁寧に確かめて みたわけだが、どういうことに気づいただろうか。 フェルデンクライスは、次の引用で、筋肉の基本的トーヌス(無意識に 働いている筋肉の緊張・張力)という点からこのことについて説明している。 筋肉のかくれた働きを発見する われわれは尾てい骨を一個、腰椎を五個、胸椎を十二個、頚椎を七個もって いる。骨盤の部分では、どの脊椎骨に一番強い圧力がかかっているだろうか。 腰椎の全部(ウエスト)は床についているだろうか。胸椎、つまり背中の 脊椎骨のうちのどれに一番強い圧力がかかっているだろうか。このレッスンを はじめればたいていすぐに気づくだろうが、二、三の脊椎骨ははっきり床に 接触しているが、その他の脊椎骨は浮き上がってアーチをつくっている。 不思議なことではないか。なんの動きも努力もせず、床の上に横たわって休む つもりだったのだから、理屈から言えば、脊椎骨と肋骨はひとつ残らず床まで 下がり、それぞれが少なくともどこか一点で床に接触するはずなのだから。 筋肉を除いた骨格だけだったら、確かにそのように横たわるにちがいない。 したがって、我々は意識していないにもかかわらず、からだのなかの各部に つながっている筋肉が、その部分を持ちあげているということになるのである。 背骨全体をぴったり床の上につけるためには、どうしても意識していくつかの 部分に力を加えなくてはならない。ひとたびこの意識的な力をゆるめると、力を 加えていた部分はふたたび床から浮き上がる。だから背骨全体を床にくっつける ためには、筋肉が無意識のうちに行っている働きをやめさせなくてはならないのだ。 意図的な意識的努力では成功できないとすると、どうすればいいか。そこで間接的な 方法を試みてみよう。[引用ここまで] さて、我々は意識して筋肉に力を入れることで体を動かすことができるのだから、 無意識のうちに筋肉に力が入っていて、しかもその力を意識的には抜くことが できないというと、奇妙に思う人もいるかもしれない。しかしこれは心臓の動きを ふつう意識的に止められないのと似た類いのことであり、これから続ける練習によって 「間接的な方法」でその余分な緊張を実際に取り除いてみれば、意識的には抜く ことのできない力、すなわちトーヌスの存在がはっきりと自覚できるはずである。 次の項ではいよいよ実際の動きに入る。 (ネタ本はこちら。「フェルデンクライス身体訓練法―からだからこころをひらく」)

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この項ではまだ動きには入らないが、まず自分の体の様子を確かめて みることにしよう。 なお、これからの練習は、楽な服装で、畳かじゅうたんの上など、ある程度 柔らかさがあり、手足が楽に伸ばせる広さがあるところで行なう。 では、引用を。([ ]内は、那賀乃の注釈) ○全身の状態をくわしく吟味する あお向けに横たわる。両脚は楽な幅に開く。両腕は頭上に伸ばして 軽く開き、左腕が右脚の、右腕が左脚のほぼ延長線上にくるようにする。 [つまり、だいたい大の字で、手は頭の上に近く、足はそれほど開いていない形] 目を閉じて、からだのどの部分が床に触っているかを確かめる。よく 注意を払って、かかとがどんな具合に床についているか、両かかとに かかっている圧力は同じくらいかどうか、触っている場所は両かかと とも同じところかどうかを調べてみよう。同じ要領でふくらはぎの 筋肉、膝の裏、股関節、遊離肋骨、上部肋骨、肩甲骨が床と接触 している状態を吟味する。 [遊離肋骨は肋骨のうち下側にあり胸の前で閉じていないもの(第八から 第十二肋骨)、上部肋骨は上側にあり、胸骨とつながって閉じているもの (第一から第七肋骨)] 両方の肩や肘や手首と床の隙間をそれぞれ注意深く調べる。 しばらく吟味してみると、肩、肘、肋骨、その他の部分がからだの左右で 相当な差異のあることがはっきりするであろう。多くのひとは、この姿勢を とると、肘が全然床に触らず、宙に浮いていることに気づくだろう。腕も 床にくっつかず、吟味を終えるまでこの姿勢を続けているのが苦しくなって くる。[引用ここまで] 体を動かすことに慣れていない人、体の様子に注意を向けた経験の少ない人には、 たったこれだけのことも、なかなか大変かもしれない。 また、ふだん体をほとんど動かしていない人や、体を痛めている人の場合、こうして 横たわって体を吟味するだけでも、体に無理な負担をかけてしまうこともありうる。 決して無理をしないで、自分の気持の良いペースでゆっくりやってみてほしい。 疲れたら、ゆっくり横向きに転がって、ゆっくり立ち上がり休みを入れる。 急な動きは体を痛める場合があるのでご注意を。 かかと、ふくらはぎ、膝の裏、股関節、肋骨、肩甲骨、そして肩、肘、手首と、 足の先から手の先まで体の様子をなんどか確かめてみよう。 次の項では、この項で確かめた体の状態について解説する。 (ネタ本はこちら。「フェルデンクライス身体訓練法―からだからこころをひらく」)

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この項では、フェルデンクライスの考え方をもう少し説明してみる。 まずは「フェルデンクライス身体訓練法」から引用(123ページ)。 このレッスンでは、随意筋のコントロール機構の基本的な諸特質の いくつかが見分けられるようになるだろう。筋肉の基本的トーヌス(張力)、 すなわち、意志によって活動させる前の筋肉の収縮状態を変化させるためには、 ゆっくりとした軽く小さい動きをおよそ三十回くらいくりかえすだけで よいことがわかるだろう。ひとたびトーヌスに変化が生じれば、それは、 最初に動かした部分を含むからだの片側全体に広がることになる。動作は 楽に行えるようになり、動きは軽やかになり、そのときには、からだの 中心部の大きい筋肉が大半の仕事を行い、四肢は力の働く方向へ骨を導く だけとなっているのである。 フェルデンクライスでは筋肉のトーヌス(張力)というものに注目する。静止した 状態にあるときの筋肉の収縮、ないし緊張の状態のことである。 習慣的、無意識的に筋肉が余分に緊張していると、楽な動きができなくなるので、 単純な動きを繰り返すことで、この緊張を取り除き、トーヌスを変化させる ことで、動作を改善する。 その結果、骨盤につながる大きい筋肉が主に動作に使われるようになり、四肢の 筋肉は余分な仕事をせず、方向を調整する本来の目的に専念できるようになる。 次の項では、トーヌスがどうなっているか、自分の体で確かめてみることにしよう。 (ネタ本はこちら。「フェルデンクライス身体訓練法―からだからこころをひらく」)

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01.はじめに

フェルデンクライス・メソッドという体の調整法があって、これは モーシェ・フェルデンクライスというイスラエルの人が始めたものでして、 単純な体の動きを繰り返すことと、それに対して十分意識を向けることにより、 日々の体の使い方を無理のない効率的なものとし、ひいては、心のレベルでも 安定した生き方ができるようになる、とでもいったらよかろうか、なかなか 結構な方法論である。 単純な動きの繰り返しにもかかわらず、やったあと確かに体から余分な力が 抜けて軽くなるのが分るので、わたしの場合、やはりもどきでしかないのだが、 夜、ふとんに入ったときや、朝、起き出す前に、気が向くとやってみては 体をほぐしている。 また、知り合いの芝居をやっている人が、稽古にこれを取り入れているので、 たまに参加して何人かで一緒にやると、一人で適当にやってるときとはまた 違って、一段と深く入ることができて、これまた気持ちよい。 さて、そんなわけで、「フェルデンクライス身体訓練法―からだからこころを ひらく」(ここをクリックするとamazonへ)をテキストに、この素敵なメソッドを 紹介してみようと思う。 せっかく手元に本があるのにわたし自身ロクに活用してないので改めて勉強 がてらね。 それでは、次回を乞御期待。 (ちなみにフェルデンクライスジャパンのページはこちらです。 http://www.feldenkrais.jp/what.html)

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プロフィール画像

としべえ2.0β

北インド・ハリドワル辺りに出没中。

物好きな物書き

宇宙のど真ん中