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産婦人科医の佐藤ナツさん(http://twitter.com/tabitora1013) の記事、
じわじわとスピリチュアルに侵食されていく私たち
を見て、とても悲しい気持ちになりました。

佐藤さんに悪気がないのは分かります。

しかし、

  • 「出産」に象徴される自分の人生に向かい合い、多数派の人生とは違う、自分なりの人生を生きようとしている人たちの一部を、「非科学的である」ことを理由に「素っ頓狂」という言葉で切り捨てている点や、
  • 「カウンセリング」の内実もよくご存知でないようなのに、公的な認可システムが整備されていないということだけを根拠に、「カウンセラー」という職業自体が「怪しい商売」であるかのように述べている点は、

「スピリチュアル」という価値観に対して、冷静に問題を指摘するような文章構成になっていながら、実際は、人の「信仰」心を否定し、感情的な「攻撃」をしているだけとしか読めなかったのです。

なお、この記事では問題点の指摘にとどめ、具体的な説明や、参照資料などは示しません。興味のある方はご自分でお調べください。

こちらが今回の見出しです。

会陰切開や陣痛促進剤は必要なのか?

佐藤さんは産婦人科の「普通」のお医者さんのようで、標準医療を素朴に信頼していらっしゃるようです。

会陰切開や陣痛促進剤は、母体の安全確保のために必要なものだと考えていらっしゃるのでしょう。

けれども、会陰切開や陣痛促進剤は「医療化」された出産では必要だと考えられているにしても、それは単に「医療システム」にとって必要だというだけではないのでしょうか?

会陰切開や陣痛促進剤の使用が、母体の安全に関わりがないにも関わらず、「医療側の都合」によって行なわれているという実態があるからこそ、少数とは言え、自然出産を希望する女性が存在するのではないでしょうか?

標準医療による出産によって「トラウマ」的な経験をなさった女性の方の話を、ぼくは直接聞いたことがあります。その方の経験自体は、特殊な少数の例にすぎないかもしれませんが、「医療側のスケジュール」に合わせるために行なわれているとも考えられる「医療」行為が、本当にお産をする女性のためになっているのかどうか、きちんとした検証が必要なように思えます。

「子宮系」その他の「信仰」について

さて、佐藤さんは、

じんわりと「スピリチュアル系」に多くの人が侵食されていることも事実ではあります。「赤ちゃんはお母さんを選んで生まれてくる」「赤ちゃんは胎内での記憶がある」と思っている人はたくさんいるし、「お産はデトックス=毒を出すもの」だと思っている人もいる。

というような言い方で、「スピリチュアル」な方の持つ「信仰」を、科学的な立場から「否定」します。

また、

その中でも、素っ頓狂なのきたなこれは、と思ったのが「子宮系」。

「子宮を大事にすること、温めることで運をつかもう!」みたいなことが「教義」らしい。

のように、人間の持つ「信仰心」自体を「否定」するような書き方もしてらっしゃいます。

なお、ぼくはこの「子宮系」という言葉は、今回はじめて知りましたが、「子宮委員長」なる方が、カルト的な活動をなさっているらしく、それが「反社会的」なものであるのならば、それは法律にのっとって制限すべきことだと思います。

けれども、「子宮を大事にし、温めれば幸せになれる」という程度の「信仰」自体はまったく問題ではなく、そうした「素朴な信仰」までも切り捨ててしまう佐藤さんの「切り分け方」には、行き過ぎた「科学原理主義」を感じてしまうのです。

「信仰」の自由は、憲法で定められた国民の基本的な権利です。

それを頭から否定するかのような表現は、いかがなものかと思う次第です。

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カウンセラー「全否定」への疑問

佐藤さんは、「カウンセラー」は自称でしかないことを根拠に「信頼できない」ものであるかのようにおっしゃっています。

また、「カウンセラー」を「NLP心理療法」と結びつけ、「NLP」が心療内科で使われていないことを理由に、やはり「信頼できない」ものであるかのように述べます。

確かに公的な認定がないことによって、「カウンセラー」の資質にばらつきがあることは事実でしょう。

また、アメリカで開発された「NLP」という心理療法は、明確なエビデンスに欠けるものかもしれません。

けれども、なんらかの形でそうした療法の訓練を受けた人が、それを信じる顧客に、その療法を施すことは、社会通念上なんら問題のあることではありません。

そもそも、国家による認定がある医師にしても、その資質には大きなばらつきがあり、ぼくのような素人から見ても、この「お医者さんはちょっと」と思う事例も少なくありません。

もちろん、日本の医療が抱えるさまざまな問題の中で、良心的な先生がたが、質の高い医療を提供するべく日夜努力なさっているだろうことは、想像に難くありませんが、「公的な認定」ということだけを根拠に、

  • 「標準医療はオーケー」
  • 「自称カウンセラーは全否定」

といった誤解を誘うような「イメージ先行」の文章を書かれている姿勢には、首をかしげざるをえません。

なぜ「標準医療」でカウンセリングができないのか?

佐藤さんは、

一般の方が医療に求めているのは、病気を治すということ以外に、ヒーリング的なこと、癒しの要素も含んでいるわけです。

でも、医療者側にはそこまでできる余力やスキルがない。

また、

高額なセミナーや受診の料金を負担させないカウンセリングが、民間や公的機関問わず必要であろうと思われます。

あるいは、

カウンセリングやメンタル面で医療機関を受診することの心理的なハードルを下げていくべきでしょう。

と述べており、医者としての限界とともに、医療システム上の改善についても言及してらっしゃる点は大変すばらしいと思います。

一方、日本の「標準医療」には、保険の点数制によって、

  • 薬や検査をしないと「利益が出ない」

という構造的な問題が存在します。

この点を改善しない限り、必要な人が安心して受けられる「高価でない」カウンセリングは実現しないと思われ、ネット上の記事で改善案を述べるにとどまらず、ぜひ積極的に、医師会などでも発言していただけたら、大変ありがたいものだと思います。

「金儲けスピ系」という「レッテル貼り」の問題

佐藤さんの記事は、

金儲けスピ系にも続いてメスの入ることを願ってやみません。

という文章で締めくくられていますが、この「金儲けスピ系」という言葉は、実際にはどういう活動をさしているのでしょうか?

具体的に、「この団体がやっていることはおかしい」というような指摘をすることなく、「金儲けスピ系」という言葉でくくって「全否定」することは、はたして問題の解決につながるのでしょうか?

このような記事を書いていると、はてなのブックマークに、「詐欺商法を批判するのはまったく正当なことであり、お前の記事は詐欺商法を容認していてけしからん」といった内容のコメントをいただくことが多いのですが、佐藤さんの「金儲けスピ系」という言葉も「詐欺商法」を言い換えたもののように思われます。

ネット上において、「金儲けスピ系」、「詐欺商法」、「エセ科学」、「擬似科学」といった言葉を使って、「否定・攻撃」する「科学自警団」の方々や、面白おかしく「批判」して「娯楽」になさっている方々には、「ご自由におやりください」としか言いようがありません。

しかし、仮にもお医者の先生が、「科学原理主義」な観点から、「金儲けスピ系」といった内容不明の言葉を使って、他人の「信仰」の領域を犯すような主張をなさることには、ニッポンの「天然全体主義」が如実に表されている気がして、思わず「はてな?」と首をかしげてしまうのです。

そして、

  • 言論の自由を封殺するような「科学原理主義」ってやっぱり怖いな、と思った

という一市井人の感想を述べて、この記事は終わりにします。

最後までご精読ありがとうございました。
それでは、みなさん、ナマステジーっ♬