カメキチさんの記事
2019.4.30 『猫も老人も役立たずでけっこう』① - kame710のブログ
で養老孟司氏の「猫も老人も、役立たずでけっこう」という本を知りました。

物質的には十分以上に恵まれているのに、あくせく働かないと気持ちが落ち着かないわたしたちに、「もう少しのんびり過ごしたらどう?」と、猫の視点から語りかけてくれるような、養老さんの言葉が気に入りましたので、本の内容にはとらわれず、気ままに思うことをつづってみます。

無用の用

中国の老子さん、荘子さんは、無用の用ということを言います。

役に立たないからこそいいんだ、という逆説の発想ですね。

人間のものさしで測ったら役立たずとしか言えなくても、猫の目で見ればそれこそが生きる道という養老さんの主張もここに重なります。

「材として有用だったらとっくにかられてなくなっていたであろう木が、ねじくれて役に立たないからこそ大木となり、巨大な神木として人々の役に立つことになるのだ」という荘子さんのエピソードがぼくは好きです。

しかしこれも、効率一辺倒の人が見たら、「神木に何の意味があるか、そんなものは邪魔なだけだ、かり倒してしまえ」という話になりかねません。

でもぼくは思うんです、その極端なまでの効率主義こそが、現代の享楽主義的社会の息苦しさを生み出しているんじゃないかなって。

「そんなこと考えても、何の役にも立たないさ」と切り捨ててしまわずに、忙しく過ぎていく日々の中で、一度立ち止まって、じっくり考えてみてもいい話題じゃないかなって思うわけなんです。

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何もしない喜び

忙しく働くことで充実した毎日を送っている方に対して、特別意見をするような気持ちはまったくないのですが、忙しすぎる日々の中で、「ああ、猫みたいにのんびり過ごしたい!」と思う方も少なくないのではないでしょうか。

都市化やグローバル化が進んで人間たちはひーひー言ってるのに、養老さんちの猫のまるちゃん齢15歳は、そんな世間の忙しさなんてどこ吹く風で、のんびり散歩、ゆっくり昼寝をして、悠々と老いを楽しんでいます。

ぼくはまだ五十代なかばなので、自分を年寄りとは思っていないのですが、産業社会に貢献していないことにかけては、若いころから隠居みたいな生活を送ってますし、役立たずで無用の用を地で行っている人間です。

その上に最近は瞑想の練習も楽しくなってきて、何もしないことが何よりの喜びとなってきました。

何もすることがなくても、猫は決して退屈しません。

人間だって同じようにできるはずです。

ただ頭を空っぽにして、ごろりと横になって、何を見るでもなく、ぼーっと視線を空間に漂わせることができれば、そこにはいつだって小さな幸せが漂っているのだということに、あなたもきっと気づくはずです。

イタリア語には dolce far niente という言い方があります。「無為の楽しみ」という程度の意味ですが、さすがはラテン文化のお国柄、人生の楽しみ方をよく知っているな、と思います。

書かないことで書く

何もしないことが楽しくなってくると、わざわざ文章を書くことにもさほどの意味がなくなってきます。

ネット上で文章を書いているみなさんは、なんといっても好きだから書いている、という部分が大きいと思うのですが、ぼくの場合はあまりそこのところが強くありません。

誰かに読んでもらって褒めてほしいとか、なんとかお金が稼げないだろうか、といった「邪心」で書いている部分が大きいのです。

だから、「ただ生きているだけで十分で、何もしなくてもオーケーなんだ」ということが分かってくると、書く動機が弱まってしまうんですね。

でも、ただ生きてるだけでオーケーならば、書いても書かなくても、どっちでもオーケーという話ですから、何か有用な記事を書こうという気持ちではなく、無用の記事でかまわないから、心から湧き出してくる言葉を並べてみようじゃないか、というような塩梅で、この記事はつらつらと書いてみているのです。

若いころ作家になりたいなと思って、けれどもうまく文章が書けないでいるときに、「貝が貝殻を作り上げるように文章を書きたいものだ」と思ったことがあります。

養老さんちのまるちゃんのことを考えてこれを言い直すと、「猫が毛づくろいをするように文章が書きたい」ということになります。

あれこれ考えて、有用な文章を書こうとするのではなく、自分にとっての自然な所作としてただ淡々と文章をつづっていく。

そんな形でこれからも書き続けていけたらなと思っています。

てなわけでみなさん、ナマステジーっ♬

☆紹介した本
養老孟司「猫も老人も、役立たずでけっこう」(2018 河出書房新社)
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