グーグルが研修プログラムとして採用したため、現代のアメリカのビジネス界で非常に有用視されるようになったマインドフルネスですが、ネット上であれこれ見ていると、日本でも静かなブームがやってきているのが分かります。

映画監督の想田和広さんは、スリランカのお坊さんスマナサーラさんとこんな本

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 アルボムッレ・スマナサーラ (著),
 想田和弘 (著)
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を出していますし、このサイトでも何度か紹介したビジネスマン・ブロガーのふろむださんは、こちらの記事でご自身の瞑想方法を紹介しています。

意外と知られてない、おっさんでも頭のキレと集中力が一日中続くようにする方法 - ふろむだ@分裂勘違い君劇場

この記事では、マインドフルネスについて簡単に紹介したあと、その大本になった初期仏教のヴィパッサナー瞑想についても少し細かい点まで説明しますが、マインドフルネスについてよく知りたいと思っているあなたなら、読んでおいて損はないはずです。

マインドフルネスとは

マインドフルネスという言葉は、今この瞬間に起こっていることを、知的に判断することなく、客観的に観察することを意味します。

日本では「念」という言葉で知られる仏教の言葉を英語に訳したもので、現代の言葉で言い直せば「気づき」ということになります。

ベトナムのティク・ナット・ハンさんというお坊さんなどのもとで禅の修行をしたジョン・カバット・ジンというアメリカの学者が精神療法に取り入れたことが、アメリカのビジネス界にマインドフルネスが広まるきっかけとなりました。

マインドフルネスの練習では、今起こっていることに意識を向ける練習をします。

人間というものは、昨日のことを思い悩み、明日のことを心配し、あれやこれやと考え続けることで、自分にストレスをかけ、苦しみを作り出すやっかいな動物です。

その苦しみが、

  • 今ここで起こっていることにきちんと注意を向けることができさえすれば、時間はかかってもだんだん解消していく、

というのがマインドフルネスの基本原理なのです。

そうしてさまざまな苦しみに悩まされる時間が減っていけば、勉強もはかどり、仕事もうまく生き、人生も楽しく生きられるようになるというわけなのです。

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仏教におけるマインドフルネス

漢訳の仏典の中に大安般守意経というものがあり、これはアナパナ・サティというインドの経典名を「アナパナ→安般(音を当てた、呼吸の意味)」、「サティ→守意(意味を当てた)」として訳したものです。

このサティという言葉が、「マインドフルネス=念=気づき」のことなのです。

そして「アナパナ=呼吸」こそが、気づきの対象として意識するべき一番大切なものということになります。

呼吸は自律神経によって制御されていますから、みなさんもよくご存知の通り、自分では意識しないでも自動的に行なわれるようになっています。

同時に意識することによって、止めることも出来れば、ゆっくりすることも、速くすることもできます。

呼吸には無意識と意識の両方で制御されうるという性質があるため、呼吸を意識することで、自分の無意識的あり方に気づき、ストレスを減らしていくことが可能になるのです。

普段から呼吸を意識して行なうだけで、「今自分に起こっていることを判断せず客観的に見る」というマインドフルネスの力を養うことができるようになるということです。

呼吸を使ったマインドフルネスの実際

マインドフルネスの練習は慣れてしまえば、いつでもどこでも気がついたときにできるようになるのですが、はじめのうちは朝起きてすぐや、夜寝る前など時間を決めて、五分程度からやってみるといいでしょう。

座禅の形で座ってもいいですし、椅子に腰掛けてもいいですし、眠ってしまわなければ、寝床で寝っ転がったままでもかまいません。

楽な姿勢で自然に呼吸し、その呼吸に意識を向けます。

ゆっくり呼吸しているか、速い呼吸になっているか、鼻の穴を通る空気は暖かく感じるか、冷たく感じるか、呼吸に伴って肩はどう動くか、お腹はどうか、など、自分の体に起こっていること、自分の体で感じていることを、呼吸を通して観察していくのです。

たくさんのことを同時に観察する必要はなく、自分がやりやすいものを一つ選んで観察すれば十分です。鼻の穴を通る息の感覚が見やすければ、それだけを見てください。

吸うときには空気は冷たく感じるでしょうか。吐くときには少し暖かく感じるでしょうか。両方の鼻の穴を息が通っているでしょうか。それとも片方の鼻の穴だけでしょうか。鼻の穴を通った空気がのどを通り肺の中に入っていくのが感じ取れるでしょうか。

こうして呼吸を意識し続けるのですが、このときどうしてもいわゆる「雑念」が起こってきます。

すわり心地の悪さを感じることもあるでしょうし、気になっている何かが頭に浮かぶこともあるでしょう。するとそれをきっかけに頭の中でいろいろな考えが玉突き現象的に思い浮かび、呼吸のことはどこかに行ってしまいます。

でもこれは悪いことではありません。人間としてまったく普通のことです。ですから「しまった!」とか「これじゃダメだ!!」などと思う必要はありません。

心がどこかにさまよい出しているのに気がついたら、ただ再び呼吸に意識を向けて、何ごともなかったかのように、また自分の体の感覚の観察を続ければいいのです。

そして「しまった」「ダメだ」と思ってしまったときも、「あー、また、しまったって思ってるなー」と、そのことも「いい・悪い」で判断せず、ただ客観的に観察し、今起こっていることを否定せずに受け止めてやります。

こうした形で練習をつづけることで、自分の体に起こっていることに対する気づきが増していきますから、ストレスがかかり緊張しているときにも、「あ、今緊張してるな」と気づいて、ちょっと一服入れたり、三回ほど深呼吸をして体の力を抜いてみたりと、自分で上手に対処することができるようになるわけです。

ゴエンカさん方式とその他のヴィパッサナーとマインドフルネスの関係

ぼくは瞑想の練習をインドのゴエンカさんという方がその礎を作った瞑想センターで行なっているのですが、そこでの瞑想は基本的に呼吸と体に起こる感覚を見るだけの大変シンプルなものです。

呼吸と体に起こる感覚を、瞑想の練習中だけでなく、普段の生活の中でも意識していくことで、マインドフルネスを生きることが可能になり、生きることにつきものだった苦しみが徐々に減っていくのです。

これはヴィパッサナーと呼ばれる初期仏教の瞑想法の流れの一つであり、日本ではヴィパッサナーというと、スリランカのスマナサーラさんの指導している方法のほうがよく知られています。

スマナサーラさんのやり方は、息を吸っているときには「息を吸っている」、息を吐いているときには「息を吐いている」、息を吸ってお腹が膨らんだら「お腹が膨らんでいる」、息を吐いてお腹が減っこんだら「お腹が減っこんでいる」という具合に、言葉でそのときの状態にラベルを貼っていくものです。

そして、この方法を呼吸だけでなく、歩いているときにも、仕事をしているときにも、いつでも心がけることで、日々の生活の中でも気づきを保ち、ストレスに悩まされない、楽ちんな人生に近づいていけるというわけなのです。

ヴィパッサナーのやり方も、マインドフルネスのやり方も、ほかにもいろいろな方法がありますので、みなさんもご自分で調べてみて、自分に合ったやり方を試してみてはいかがでしょうか。

とりあえずのおすすめとしては、気がついたときに、「とにかく三回、鼻から深呼吸」これを試してみるといいですよ。

こんな簡単なことでもひと月も続けると、悩みが減り、気持ちが軽く、体が楽にと、実感できること間違いなしです。

以上、マインドフルネスと仏教の瞑想法の関係について簡単に説明しました。
それではみなさん、ナマステジーっ♬

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