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みなさんは犬と一緒に暮らしてますか、暮らしたことがありますか?

ぼくの場合、子どものころは家に犬がいたんですけど、大人になってからはよその犬と遊ぶくらいなんですが、この記事では

  • 犬と一緒の生活が「心筋梗塞や脳梗塞を減らす」かもしれない

という(白犬だけに*1 )おもしろい研究を紹介しようと思います。

一人暮らしの人が犬を飼えば、心血管疾患で死亡する可能性が36%も下がる!?

この研究は、スウェーデンのデータを使ってなされたものですが、12年の期間に渡る340万人ものデータを分析した結果得られたものです。
(参照記事: Owning a dog cuts risk of heart attacks and other fatal diseases, study shows | Science | The Guardian
参照論文: Dog ownership and the risk of cardiovascular disease and death – a nationwide cohort study | Scientific Reports)

そして分かったのは、一人暮らしの人のうち、犬を飼っている人は、飼っていない人に対して、

  • 心臓や血管の病気で亡くなるリスクが36%も低い、

ということなんです。

家族と一緒に住んでいる人の場合でも、

  • 犬を飼っている人のほうが 15% はリスクが低い、

とのことですから、ワンちゃんが家族の一員であるあなたにとっては、なんとも「ハッピー」で「ラッキー」な研究ではありませんか。

ここで一つ注意してほしいことは、この研究から言えることは、

  • 犬を飼っている人は、心血管疾患のリスクが低い、

ということであって、

  • 犬を飼えば、心血管疾患のリスクが下がるとは言えない、

ということです。

ここではそのことについて詳しい説明はしませんので、興味がある方には、
相関関係と因果関係の違いが一発でわかる具体例5選 | アタリマエ!
という記事が分かりやすいと思いますので、おすすめしておきます。

さて次は、「犬を飼うこと」と「心血管疾患のリスクが低い」ことに相関関係があるのはなぜなのかを、もう少し見てみましょう。

犬を飼う人は、「生活が健康的」である

この研究では、飼っている犬の種類によっても「心血管疾患のリスクの低さ」の程度が違うことが報告されています。

テリアやレトリーバー、ビーグルなど、

  • もともと狩猟犬として使われていた活発な犬を飼っている人の方が、
  • 心血管疾患のリスクが低くなる

というものです。

このことから言えそうなのは、犬を飼っている人は「犬と一緒に散歩をする」など、健康にいい習慣を持つために、「心血管疾患のリスクが低くなる」ということですから、分かりやすいですね。

部屋の中に閉じこもりがちな人は、犬を飼うまではしなくても、気持よく歩ける散歩コースなどを考えてみるといいかもしれませんね。

犬を飼う人は、犬との交流のおかげで「ストレスが低くなる」

この研究を報告したスウェーデンのウプサラ大学のトーベ・ファル教授は、「散歩」などによる運動が、この相関関係の一番大きな原因だとは考えていません。

彼女は、

  • 「犬との交流」が大きく影響しているはずだ、

と言うのです。

「ストレスによって病気のリスクが高まる」ことはみなさんも、ご存知だと思いますが、

  • 「犬との交流」によってストレスが減ることが、「心筋梗塞や脳梗塞などのリスク」を減らしている

可能性があるということです。

この効果は犬だけに限りませんから、猫でも小鳥でも金魚でも、あなたが「本当に好きになれる」ペットと一緒に暮らして、愛情を注いてあげれば、ペットは逆にあなたに健康を授けてくれることになります。

でも、動物が嫌いな人は、間違っても真似をしちゃいけませんよ。

「嫌い」なのに生き物を飼ったりしたら、かえってストレスが増して逆効果ですからね。

また、住宅事情などから家では飼えないという人でも、飼っている人のところで遊ばせてもらったり、野良猫と友だちになったり、いろいろなやり方があると思いますので、工夫してみてはいかがでしょうか。

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犬が持っている雑菌が「人間の健康」に役立っている!?

まずは、ちょっと意外な「衛生仮説」について
  • 「雑菌」が健康の役に立つ? そんなわけないでしょ!!

とあなたは思われるかもしれませんが、この話はどうも本当のことかもしれません。

これは「衛生仮説」と呼ばれる話なのですが、

  • 現代的な生活が「衛生的」なものになりすぎたことが、喘息・アレルギー・アトピーなどの原因の一つと考えられる

というものです。

人間も含め、哺乳類はお母さんの母体で成長するため、病原菌をやっつけるための「免疫系」を他の動物とは違う形で作り出す必要がありました。

哺乳類は、お母さんと赤ちゃんとの間で「免疫作用」が生じないように、赤ちゃんの「免疫」の一部を制限しているのです。

そのため、生まれたての赤ちゃんの「免疫系」は不完全な状態です。

この「不完全」な免疫系でも赤ちゃんが病気にかからないですむように、

  • 赤ちゃんの体には、お母さんからへその緒を通して IgG (免疫グロブリンG)という物質が与えられます。

生まれたての赤ちゃんには、病原菌をやっつけるために重要な役割を果たす IgG を十分に作る能力がないため、お母さんがその代わりを果たしてくれるんですね。

けれども、このお母さんにもらった IgG は、生後数ヶ月から半年程度で分解されてしまうため、生後 3 - 4 ヶ月程度のときに、赤ちゃんの免疫物質の濃度が全体として低くなる時期があり、赤ちゃんの感染症リスクはそのころ高くなると言われているそうです。
(参照: 免疫学 Q & A)

そして、この時期までに赤ちゃんの免疫系の基礎ができあがり、それまでに「雑菌」に触れることが、健康な免疫系の発達のために重要である可能性を示唆する研究結果があるんですね。
(参照: 子どものぜんそく、腸内細菌の不足に関連か カナダ研究 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News)

また、「犬と暮らす人は健康度が高い」という今回の研究結果を出したファル教授は、

  • 「生後一年の間に、犬と暮らしたり、牧場で動物と触れ合う経験のあった子どもは喘息になるリスクが、15%(犬の場合) ないし 50%(牧場動物の場合) 低い」

という研究発表もしています。
(参照: Living with a dog cuts child's risk of asthma by 15%, study shows | Society | The Guardian)

この二つの研究結果を合わせて考えると、生後三ヶ月程度までの時期に、赤ちゃんに動物との触れ合いの経験を持たせることで、

  • 「喘息・アレルギー・アトピーなど」の免疫の病気を防げる

可能性がありますので、今まさに赤ちゃんが生まれたばかりの親御さんや、「これから赤ちゃんを作るぞ」と張り切っている未来のママ・パパも、ちょっと参考にしてみてください。

「雑菌」が「心血管疾患を減らす」可能性は?

ファル教授は、「犬と暮らすことでアレルギーなどの病気を防げる」との研究を発表しただけではなく、ご自身も犬と一緒に暮らしているそうですから、

  • 「雑菌」が「心血管疾患を減らす」のでは?

と考えたくなる気持ちも分かります。

けれども、

  • 免疫系の病気ならともかく、心臓や血管の病気まで???

とぼくの頭には大きな「はてなマーク」が並びました。

ところがです。

検索してみると、あるんですよ、

  • 子どものときに「雑菌に触れた人は心臓発作を起こしにくい」

ということを示唆する研究が。

具体的には、「水疱瘡、はしか(麻疹)、三日ばしか(風疹)、おたふく風邪、伝染性単核球症、猩紅熱」の六種類の感染症について調べたところ、持病として心臓発作を持つ人と比べて、心臓疾患を持たない人のほうが、これらの感染症を子どものときに経験している率が有意に高かったというんですね。

しかも、二種類の感染症の経験がある人では心疾患のリスクが 40% 下がり、四種類だと 60% 、そして六種類全部だと 90% もリスクが下がったというのですから、驚くじゃありませんか。

ここで、多くの感染症の経験があるということは、子どものころに「雑菌」が身近にあったことが示唆しますから、「衛生仮説」が言うとおり、

  • 衛生的すぎる環境が、病気に弱い人間を作っている

可能性はかなり高く思われますし、

  • 子ども時代に犬と暮らすことが、心疾患を防ぐことになる

可能性も確かにある、と言えるのではないでしょうか。

いやあ、動物の持つ力の可能性って、すごいもんですねー。

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なおこの研究については、朝日新聞記者の小林哲氏のツイートで知りました。
興味深い研究を紹介してくれた小林氏に感謝いたします。

というところで、この記事はおしまいです。
それではみなさん、ナマステジーっ♬

※なお、トップの画像は、かわいいフリー素材集 いらすとやさんのイラストを加工して使わせていただきました。いらすとやさん、どうもありがとうございます。

*1:「尾も白い」にひっかけたすべりまくりのダジャレですみませーん。