本当に人生を変えたいのなら、今すぐできることから取りかかろう。
初期仏教の瞑想法であるヴィパッサナの練習を始めてから、そろそろ八年になります。
昨日までは西インドのプシュカルで、十日間の合宿コースにボランティアとして参加していました。
ぼくが練習しているのは、ビルマ生まれのインド人ゴエンカさんという人のやり方で、呼吸と体の感覚を丁寧に見ていくだけの単純明快な瞑想法です。
単純明快ではありますが、十日のコースではこれを朝から晩まで十時間あまりも練習することが推奨されていますので、実際に実行するとなると、これは本当に難しいことです。
ところでみなさんは、自分の人生が「もう少し楽しいものになったらな」とか、「もっと自分の思い通りに生きたいな」とか、そんなことを考えるときがないでしょうか。
つまり、
「自分の人生を変えたい!」
と思うときのことです。
ぼくは今年五十五になりましたが、もう三十年以上も自分の人生をなんとか変えようとして、切れ切れで散発的な努力を重ねてきました。
そうして最近気がついたのは、
「自分は今の人生に満足していない、なんとかこの人生を変えたい」
と思うときというのは、人生の最大のチャンスだということです。
このとき「変えたい」という強い気持ちは、必ずしも必要ありません。
「変わったら楽しいのにな」
というくらいの淡い期待でもいいのです。
変化を求める気持ちが起きたときにこそ、変化を実現するための第一歩を踏み出すことができます。
逆に言えば、自分がその気にならない限り、いくら人に尻を叩かれたって、人間変わることなんてできません。
そして変化を求める気持ちが起こったときに、
「変化に向けて正しい一歩を踏み出せるかどうか」、
これこそが重要なポイントです。
もちろん「何が正しい一歩なのか」は人によっても、時期によっても違ってきますから、それを見極める力を自分の中に育てることも大切なことです。
とはいえ、誰にとっても踏み出すべき一歩の方向性として、間違いなく大切なことがあります。
例えば、
「意志の力を育てること」
です。
なんでもかんでも意志の力で克服できるとか、努力すれば必ず成果が上がるとか、そういう話ではありません。
好きなことをやる場合にだって、物事の準備をし、何かをやりとげ、充実した時間を送るためには、そこには必ず意志の働きがあります。
人生を変えたいと思うのならば、意志の力を育てることは必須の条件といってもいいでしょう。
そこで意志の力を育てるために、この記事でみなさんにおすすめしたいのは、
- 「鼻から三回ゆっくり深呼吸をすること」
です。
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「鼻から深呼吸? それが変化を求める気持ちや意志の力とどう関係があるの?」と思われたでしょうか。
しかし、最近の心理学の研究では、
- 自分を変えるためには習慣を変える必要があり、
- そのためには実際に何か行動を起こす必要がある
ことが報告されています。
そしてその行動を起こす力こそが、意志の力なのです。
つまり「自分を変え、習慣を変え、意志の力を育てる」ためには、新しい行動を実際に起こすことが必要であり、
「鼻から三回ゆっくりと深呼吸すること」
はそのための打ってつけの練習になります。
「人生を変える」などと大上段に構えると、どうにも手に負えないものにも思えてしまいますが、「実際に変えること」こそが出発点としての大切な一歩になりますから、その一歩めは
- 「気がついたときに三回深呼吸すること」
といった実に簡単なことでかまわないのです。
だまされたつもりになって、まずは今これを読むのを一旦やめて、三回深呼吸をしてみてください。
鼻からゆっくり息を吸って、胸いっぱい吸い込んだら、またゆっくりと鼻から息を吐いていきます。吸うときよりも吐くときのほうが自然に長くなるはずです。
朝起きたときや、夜寝る前に、「なんかおもしろいことないかなぁ」と思ったときや、ちょっとくたびれたときに、あるいはレジ待ちの時間やお茶で一服するときに、ほんの一分かそこらの時間を使って、ゆっくり三回深呼吸をしてみてください。
たったこれだけで人生が変わるなんて、とても信じられないかもしれません。
でも「千里の道も一歩から」というじゃないですか。
まずは一歩めを踏み出してみてください。
今までぼくの文章を読んで一歩めを踏み出してくれた方からは、「なかなかいい感じだよ」と感想をいただいています。
そしてその一歩の次に、どちらの方向に進んでいくかはあなた次第です。
この小さな文章が、あなたの人生の充実のために少しでも役に立ったとしたら、これに勝る喜びはありません。
てなところで、この記事はおしまいです。
それではみなさん、ナマステジーっ♬
※瞑想やゆっくり呼吸をすることが意志の力を育てるために効果があることは、次の本の52ページめ、77ページめに説明がありますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
☆ケリー・マクゴニガル「スタンフォードの自分を変える教室」
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しばらく前に話題になった本ですが、やる気を出すためにはどうしたらよいかを、心理学、神経科学、経済学などの新しい知見にもとづいて、いろいろな角度から説明してくれていますので、きっとあなたの役に立つ内容が見つかるはずです。
※三回深呼吸は分かったから、もう少し瞑想について知りたいという方には次の本をおすすめします。
☆ウィリアム・ハート「ゴエンカ氏のヴィパッサナー瞑想入門―豊かな人生の技法」
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具体的な瞑想のやり方についての本ではありませんが、日常的に瞑想の練習をすることの意味が初期仏教の立場から、けれども可能な限り宗教的なドグマにはならない形で説明されていますので、マインドフルネスの基礎であるヴィパッサナ瞑想について、その考え方の全体像を知りたい方にはおすすめです。