みなさん、ホメオパシーという代替医療のことはご存知でしょうか。

現代医療の抱えるさまざまな問題に疑問を感じる人たちの間で、人気が高まっている代替医療と呼ばれるものの一つです。

実は、このホメオパシー、ネット上の科学重視派の人たちからは毛嫌いされるんですが、一体どんな内容のものなのか、さっそく見てみましょう。

GIGAZINE で紹介されたホメオパシー

情報サイトGIGAZINEに、2018年2月23日付で次のような記事が掲載されました。
現代医学に懐疑的な人々に人気の治療法「ホメオパシー」とはどのようなシステムなのか? - GIGAZINE

こちらでは、youtube に投稿されたビデオをもとに

  • ホメオパシーの「原理」
  • 現代の科学では、ホメオパシーに科学的根拠はないと考えられていること
  • けれどもプラシーボ効果によってホメオパシーには「実際の効果」があること

が分かりやすく説明されています。

ホメオパシーは同種療法とも呼ばれ、「症状の原因となる物質を極限にまで希釈して使うことで症状を治療することができる」という「仮説」にもとづいています。

この考えにもとづいて、「毒」を希釈して作った砂糖コーティングの丸薬をホメオパシーではレメディと呼びます。

ところが、通常使われるレメディは、科学的に考えると原因物質が1分子も入っていないまでに薄められてしまっています。

もとの物質が入っていないのですから、普通に考えればこれは「砂糖玉」でしかありません。

けれどもおもしろいことに、この「砂糖玉」によって、実際に病気の症状は改善するのです。

これは医学的によく知られた事実で、「プラシーボ(偽薬)効果」と呼ばれます。

プラシーボ効果とは、「効果のない物質でも、効果があると思って飲めば、実際に効果があらわれる」という現象で、暗示の作用によって人間の自然治癒力を引き出すものです。

以上で、ホメオパシーには「科学的根拠はない」にも関わらず、「確実に効果」があることがお分かりいただけたでしょうか?

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ホメオパシーって、なんか問題なの?

GIGAZINE の記事では、

ホメオパシー医療に対しては、「本当に現代医学の力を借りるべき時に、頼ることを躊躇させる」などの批判があります。

とさらりと触れているだけなのですが、日本の場合、大手の新聞も「医療忌避」につながるとしてホメオパシーに否定的な報道をしています。*1

これは日本におけるホメオパシーの普及に助産師の方々が関わっており、一部の助産師の間では、行き過ぎとも考えられる「現代医療否定」の傾向があることと関係があります。

ホメオパシーの原理自体は、決して現代医療を否定するものではありません。

現代医療を否定するかどうかは、最終的にはホメオパシー利用者の判断の問題です。

助産師さんたちの活動は、過度に医療化・男性化された現代の「お産」の形を、女性に取り戻すものであり、それには大きな意味がありますが、活動が先鋭化して「現代医療の否定」にまでつながれば、これは「カルト的」と言わざるをえません。

ホメオパシーを「カルト化」させないためにも、ホメオパシーを推奨する助産師のみなさんには、行き過ぎた「医療否定」に落ち入らないよう、十分注意していただきたいと思います。

GIGAZNE の記事についたコメントについて

はてなブックマーク - 現代医学に懐疑的な人々に人気の治療法「ホメオパシー」とはどのようなシステムなのか? - GIGAZINE

こちらのはてなブックマークにいろいろなコメントがつけられており、もっともと思う論評もありますので、一部紹介しながら一言添えます。

id:agrisearch さんは、

  • 「ホメオパシー医療の共感を引き起こすシステムは実際の医療の代替ではない」

という部分をGIGAZINE記事から引用されています。

ホメオパシーが医療のすべてを代替するわけはありませんが、風邪をひいたときに、医者にかかる代わりにホメオパシーのレメディをもらう、といったケースでは、過剰な薬剤の投与を抑える効果もあり、標準医療を代替する役割を十分果たしていると言えるのではないでしょうか。

id:ublftbo さんは、

  • “ホメオパシーは感染病にも有効で、「病気に感染したかも」とウイルスの潜伏期間中に対策を取れば、発症しないパターンもあります。” ここは……?

と疑問を投げかけています。これはプラシーボ効果として「有効」ということでしょうから、問題はないでしょう。この記事、全体に訳文がちょっと「ゆるい」ですよね。

id:kpkpkpchang さん、

  • "ホメオパシー医療は高い利益率を誇り" 信じる気持ちとか実体験とか理屈はつけられるけど、結局ここにつきるんだろうな。ただの砂糖玉が薬の値段で売れるわけだから。

アメリカの記事だけに、「高い利益率」などというビジネス用語が出てくるのがおもしろいですね。
また逆に言えば、「高い収益性」を誇る医療・薬剤ビジネス側の方々がホメオパシーを批判する理由も明らかというものです。

id:yumehikoさん、

  • 本能は理性よりも人を操る。本能は、複雑で面倒で不親切な真の医療よりも、手軽な偽の医療を選ぶ。ホメオパシーを笑うことはできない。

同感です。「手軽」なだけでなく、「親身になってくれる」代替医療を選ぶ権利は、国民に保障されてしかるべきでしょう。

id:tanukichi087さん、

  • エビデンスはないけど、お守り買ったりお祓いしたりするのと似てるのかな。

まったくその通り。行きすぎれば「カルト化」する点も同様。
科学を信仰するのも自由なら、疑似科学を信仰するのも自由ってわけです。

id:kalcan さん、

  • ヤブ医者にかかっていらん薬飲まされて副作用出るより、ホメオパシーのほうがマシ。 さらに言えば数時間おきに摂取するなど使いようによっては風邪・インフル予防には効果的で脳梗塞予防にも使える

プラシーボ効果を上手に使っているようで何よりです。

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というようなところで、この記事はおしまいです。
それではみなさん、ナマステジーっ♬

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*1:読売と朝日の報道について、こちらの記事が詳しく扱っています。 http://mochimasa.hateblo.jp/entry/20100731/1280608405