ネット上にはさまざまな炎上の種が転がっており、少しのきっかけで炎が上がります。

うっかりすると水のつもりで油を注いでしまって、なにもしなければボヤですんだのに、手のつけようのない大火事になっちゃった、なんて話もいくらでもあります。

この記事では、ネットを使っていれば、どこかで目に入ってきてしまう「炎上」について、その「よしあし」を考えてみたいと思います。

はあちゅうさんに見る「意図せざる炎上」の効用

まず炎上を2つの種類に分けてみましょう。
意図せずして生じる「自然炎上」と狙い撃ちで起こる「釣り炎上」です。

「自然炎上」の例としては、ネット有名人作家のはあちゅうさんによる「動物最強」ツイートが記憶に新しいところです。

はあちゅうさんが、マーケティングの道具としてペットを飼うことを「暗に」すすめる発言をしたため、動物愛護派の人たちから多数の批判を集めました。*1

はあちゅうさんは、炎上を誘うようなツイートを「不注意に」する名人です。

そして、それを自分のブランド力のアップに使う巧みな能力の持ち主でもあるため、何気なく情報を発信していると、自然に炎上が起こり、たくみな炎上さばきによって、ファンを増やしていくという「炎上スパイラル」が得意技です。

自分の「不注意な」発言に批判が集まったときに、その批判を巧みにかわし、自分の正当性を主張し、聴衆の一部でも納得させることができれば、多くの聴衆の中から新たなファンをつかむことが可能となるわけです。

こうした技は、炎上による心理的打撃に打ち克つだけの「鋼の心」の持ち主以外には使えませんが、「読まれてなんぼ」のネット社会においては、その効用を乱用するものが後を絶たないのが現状です。

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イケダハヤトさんに見る「釣り炎上」の功罪

「自然炎上」の効用に気づいた人間は、「意図的に」炎上を起こそうとたくらみます。

「炎上芸人」の異名を持つ、高知のトマトブロガーことイケダハヤト氏こそ、狙い撃ちによる「釣り炎上」の達人です。

二年ほど前に、彼が放った「ホメオパシーねた」は、カミソリ級の切れ味のものでした。

ホメオパシーは、その科学的根拠の不確かさから、ネット上では「疑似科学商法」として叩かれるのが定番となっているのですが、イケハヤ氏はそれを承知の上で、ホメオパシーの商品をすすめる記事を書いたのです。

氏の狙いは見事的中し、多数の批判が殺到し、大炎上が発生。
しかし、それによってホメオパシーの商品が売れたとは思えません。

大炎上の翌日、イケハヤ氏は初めから準備していたと思われる批判に対する「反論」記事をすぐさま公開し、そこには

「ホメオパシーが人気を集める原因の一つである『プラシーボ効果』」

について説明した本のアマゾン・アソシエイト・リンクが貼ってあるんですね。

彼はもともと「ネット本屋」として活動していた方ですから、

  • どんな本をどうプロモーションすれば売れるか、

ということが手に取るように分かってらっしゃるのでしょう。

イケハヤ氏のファンや、「炎上」によって彼を知った新しい読者が、ずいぶんたくさんその本を買ったんじゃないかなと、想像する次第です。*2

しかしながら、こうした方法は、「釣られた」側の「ヘイト値」をいやがおうにも上げてしまい、当然いらぬ恨みを買うことになります。

ダイアモンド並みの心の強さを持たないあなたには、決しておすすめできないやり方です。

「炎上」の「よしあし」と、その「啓蒙」効果

以上に見たような「有名になるための炎上」は、はたから見ていて決して気持ちよいものではないでしょう。

また、そうした形で「炎上パワー」を利用するかどうかに関わらず、「炎上」というもの自体が、「力と力の衝突」という性質を持ちますから、火事場の野次馬的な興味以外には、あまり意味のないもののようにも思えます。

結局のところ炎上は、対立する意見同士のぶつかり合いにすぎないかもしれません。

しかし、

  • 「ぶつかり合い」があるところには、人生にとって「何か大切なもの」がある

ということは考えられないでしょうか。

はあちゅうさんの例で言えば、「動物を大切にする」ということ。

イケハヤ氏の例で言えば、「現代医学に頼りすぎない」ということ。

炎上というものは、人間社会にとって大切な問題提起を、「派手な形」でぼくたちの目の前に示してくれる「ショー」のようなものにも思えるんです。

ですから、「炎上のよしあし」ということで考えると、単純に「相手は間違っている」ということで、非難しあってるだけのものは、やっぱりつまらない。

集まってくる多くの意見がそのようなものになるのは仕方ないとしても、その中に、何か自分の視点とは異なる新しいものがないか、と思って、発言を眺めていく。

そして、そこにキラリと光る原石のような言葉を見つけたときには、

「ああ、人生って本当におもしろいものだなぁ」

と思うことになるのです。

とまあそんなわけで、「炎上」という一つの社会現象によっても、ぼくたちは何かを学ぶことができるわけですから、みなさんも気が向いたら、炎上現場に向かいフィールドワークをお楽しみください。

エンジョイ、炎上!

以上、インドより愛を込めて、那賀乃とし兵衛がお送りしました。
それではみなさん、ナマステジーっ♬