夜中たわしさんが、
親族により70余年封印された本『悪魔を出し抜け!』オーディオブック版感想 - 夜中に前へ
という記事で、ナポレオン・ヒルの「悪魔を出し抜け!」を紹介しているので、ぼくも便乗してちょっと書いてみます。

この本はいわゆる自己啓発本ですので、「お金を儲けたい」あなたや、「有名になりたい」あなた、そして、「とにかくネット上でビッグになりたい」あなたなどには打ってつけの本ということになります。

そして、さらに言えば、「ニートな悟りを決めたい」あなたにこそ、ぜひ読んでいただきたい一冊だったりもするのです。


ぼくはどちらかというと、マイナー「指向」にしてマイナー「思考」な人間ですので、題名に「悪魔」という言葉が入っていなかったら、この本を本屋で手にとることもなかったでしょう。

そうです、この本のとっても面白いところは、悪魔があなたに「ビッグになる」方法を教えてくれるところなんです。

ナポレオン・ヒルは、アメリカにおける自己啓発本の本家本元みたいな人ですが、その彼が「ある精神的な危機を経て、悪魔とコンタクトを取れるようになった」というのが、この本に書かれている文字通りのいきさつです。

たわしさんは、悪魔とコンタクトを取ったというのは方便であり、刺激的すぎる内容を直接自分の言葉として語るのは差し障りがあるので、悪魔の言葉として語ることにしたのだろうと、書いています。

確かにそうかもしれません。

けれども、「命に関わるような精神的な危機」を経験することによって、普段は入ることのない「変性意識状態」に入るということは、十分ありうることでして、ナポレオン・ヒルが「実際に悪魔と対話した」と思っていたとしても、これはなんらおかしなことではありません。

少し時代はさかのぼりますが、イエス・キリストさんだって、神の声を聞いたと思ったわけだし、周りの人たちもそれを信じたわけですから。

さて、そこで悪魔が何を教えてくれるか、ということなのですが、それは
「いかにして悪魔が人間をコントロールしているか」
という方法なんですね。

で、ナポレオン・ヒルさんは、どういうわけか悪魔と友だちになってしまい、悪魔のやり口を教えてもらってしまいましたから、これを逆転することによって、「悪魔を出し抜く」ことが可能になるわけです。

悪魔を出し抜きさえすれば、ほら簡単、あなたはあっという間にビッグになれるという次第です(嘘)。

で、いかにして出し抜くかということですが、これを一言でまとめてしまうと、
「ヒプノティック・リズムにはご用心」
ということになります。

たわしさんはそれを
「悪魔にコントロールされないためには、周囲に流されず、自分の頭で考えろ」
と表現なさっています。

はしょって説明すると、悪魔の目的は「自分で考えない、周りのいいなりになる人間を作ることで、この世界を堕落させる」ことにあるわけです。

そのとき悪魔は、「ヒプノティック・リズム」という人間を催眠状態に落とし入れる波動によって、人間をコントロールしているとのこと。

そのことを十分に意識していない限り、人は簡単に「周りに流される、いいなり人間」になっちゃうって話なんですね。

そしてこの「十分に意識する」っていうのが、めちゃめちゃ難しい。いろいろなエピソードを通してその「難しさ」についてもきちんと書いてありますので、あなたが本当に「悪魔を出し抜きたい」のだったら、役に立つことは間違いないです。

この本は自己啓発本ですから、全体のストーリーは「流されない人間になって、ビッグになろう」というふうなものなのですが、基本的な考え方は、お釈迦さまの説く、初期仏教ともそっくりだなと、ぼくなどは思います。

ぼくの場合、涅槃・寂滅を目指す、仏教的なストーリーの方に、どちらかといえば惹かれるわけですが、キリスト教的でビジネス畑のナポレオン・ヒルさんの書く「真実の書」が、「世間に流されない人間になろう」という主張において、仏教とほぼ同じ結論に達していることには、とても興味深いものを感じます。

というわけで、「ビッグになりたい」あなたにも、「ニートな悟りを決めたい」あなたにも、蝶おすすめの一冊ということなのでありました。

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ナポレオン・ヒル「悪魔を出し抜け!」きこ書房2013