頭の中で、

けせらん ぱさらん けせらん、ぱっ、ぱっ
けせらん ぱさらん けせらん、ぱっ、ぱっ

という、謎のミュージックが流れています。

毎度どうも、ぷちウェブ作家のとし兵衛です。

あなたはいつもweblog*1を書くとき、どんなことを心がけていますか。

ぼくは、そういうことをきちんと言葉にするような人間ではないので、weblogということで言うと、特にこれだっていうのは、今思いつかないんですけど、文章全般の話をまずすれば、二つばっと思いつくことがあります。

「カタカナや漢語をなるべく使わないこと」と、「漢字が多くなりすぎないようにする」ってことです。

てなことで、今日はいっちょう「真夜中の文章術」*2ということでいってみましょうか。

余計なことは考えないでいい、とにかく書くんだ

インターネットの普及によって、わがニッポン国*3においては、「情報を発信したい」という意志さえあれば、誰もが無料(ただ)*4ないし、きわめてお安い値段で情報発信できる時代になっちゃったんですのよ、奥さん*5。だってそうでございましょう。ほら、今うちの次男が行ってるんですけど、ネパールみたいな国に行ったら、まだまだまずしい方がいっぱいいらっしゃって、ネットどころじゃないらしゅうざますわよ。えっ、あたし? あら、あたしとしたことが申し遅れましてすみません。あたくし、とし兵衛の母のかよ*6と申します。いつも息子がお世話になっておりましてー。あら、やだ、九時半、もうこんな時間だわ。ちょっと買い物に行ってきますわね。それではごきげんよーー。

というわけで、ネパールは今、朝の六時。窓の外からは小鳥のさえずり、カラスの「あ゛ーー」という鳴き声が聞こえてきます。

とまあ、そんなわけで、一億総発信者の時代を迎えた我が国において、ネット上で文章を公開し、後悔する機会も増えたわけですが、ここでまたぼくの頭の中では、

けせらんぱさらんけせらん、ぱっ、ぱっ
けせらんぱさらんけせらん、ぱっ、ぱっ

という、謎のミュージックが流れて始めました。

そとではにわとりが「おっえおっおぅーーー」と元気に鳴いとリます。

こんなことをやっていると話が進みませんから、横道にそれずに話を進めることを心がけていきましょう。

ここまで、こんなにどうでもいい文章をつづったののはなぜかというと、「とにかく書け」という原則にしたがったからです。

すべりまくる冗句でも、誰もが頭をかかえる奇妙な文体でも、とにかく書いてみないことには、表現は始まりません。

どんなにたくさん文章術の本を読んでも、実際に書かなかったら、読またかったも同然です。

あれこれ思い悩むよりは、とにかく書いてみること。

当たり前すぎますが、これが文章術のアルファにしてオメガです。「狛犬さん、あ・うん」*7です。すべてものごとは、Aから始まってZで終わるのです。

おーむ、しゃんてぃ、しゃんてぃ、しゃんてぃ*8

☆本の紹介: 数学文章作法 基礎編 (ちくま学芸文庫)
YukiWiki の作者として知られるプログラマーにして作家の結城浩さん、こんな本も出してるんですね。
アマゾンのレビューを見てみると、なかなか面白そう。数学嫌い以外の人は読んだら役に立つと思います。

文章は爆発なり、故に表現は自由なり

芸術は爆発です。文章も爆発です。

爆発に決まった形はありません。爆発は自由なんです。

そうです、文章は自由なんです。あなたの好きな通りに書けばいいんです。
ですから例えば、こんなのだってありです。

。ねよいいものるみてい書らか右はにまた

うーん、これは我ながら新鮮だなー。最後の句点が右寄りになってくれないのが、ちょっと気になるけど。

これは文章術に限らないんですけど、人の術を参考にさせてもらうとき、ぼくは大体話半分(当社推定値)に聞いてます。

っていうのは、相手と自分の前提が、多くの場合違うからなんですよね。

たとえば「weblogはこう書け」みたいな内容で、「親しみやすい文章を心がけましょう」とあったとしますよね。

じっさいぼくも、親しみやすい文章を心がけてるつもりです。

多くの人に読んでもらいたいならば、これはたいてい間違いのないやり方でしょう。

でも、あなたが書きたいものが少数の人でいいから、心の奥底まで届くような文章だったとしら、この「親しみやすい」という基準は正しい基準になりうるでしょうか。

もちろん、なる場合もあります。

多くの人に読んでもらった上で、その中のごく少数の人の心の奥底まで届く、という道筋の場合は、「親しみやすい」文章を書くことは、あなたの目的と矛盾しません。

けれども、心の奥底まで届く「あなた」の文章を求めている人は、ありきたりの「親しみやすい」文章には目もくれず、「とっつきにくいけれども、何かが感じられる文章」を求めているかもしれません。

この場合は「親しみやすい文章」を心がけないほうがいい、ということになります。

というわけで、文章術に王道なし、あなたの好きな道を行ってください。
長く歩けば、歩いただけ、あなたなりの表現が生まれてくるというものです。

☆本の紹介: 岡本 太郎「今日の芸術―時代を創造するものは誰か」 (光文社知恵の森文庫)
元祖「芸術は爆発だ」の岡本太郎氏。なかなかの怪人物にして快人物です。
この本は五年ほど前に芝居をやってる友だちから知って読みましたが、ぜんぜん古びた感じがしませんでした。
表現の自由さを知る上で読んでおいて損はない本だと思います。

「自由にやれ」とはいうものの、一人よがりにはなりたくないあなたへ

一人よがりになって、悪い理由というのも、実はありません。
底抜けの自己満足だったとしても、自分がそれで楽しいなら、問題なーい、ですよね。

ただし、他者攻撃のたぐいは、人目につかないところでやるようにしてください。

鬱憤を晴らすのも、表現のための、立派な理由の一つになりえます。

けれども露骨な「攻撃」は、無用な軋轢のもと、結局は自分の首を締めることになります。

また、自分では気づかない思わぬことで人の反感を買うこともありますから、他人から攻撃など受けた場合は、あわてずさわがす、落ち着いて事態を見極めることです。

えー、内容がずれてますので、軌道修正。

ひとりよがりになりたくない場合にどうするか、でした。

どうも自分のweblogは、星がつかない、ハートもつかない、コメントもつかなけりゃ、伏魔(ブクマ)もされないし、読者が増えない、閲覧数も増えない、つくのは餅だけ、増えるのはわかめだけ、これじゃだめだ、こんなんじゃ寂しすぎる、このままじゃ続けられない、たぶん理由は一人よがりだから、一人よがりをなんとか改めなくちゃ、神さま、どうか私をお救いください、迷える子羊に道を指し示してください、サッシは閉めて、さっさと話を続けてください、という場合にどうするか、という話です。

こんなときのぼくのおすすめは「自分が読んでておもしろいな」と思うweblogの真似をすることです。

ここで間違えないでほしいのは、真似をするのは「人気のある」weblogじゃなくて、「あなたが好きな」weblogだ、ということです。

もちろんあなたが目指すのが、アクセス数を増やして収入を増やすということだけだったら、「人気」のweblogを真似してもいいんですけど、そっちの話は今はやめておきます。

仮に収入が目的の一つとしてあったとしても、「好きなweblogを真似よ」というのが、蝶おすすめ、ということです。

人生なにごとも、楽しくやるのが一番です。文章を書くことも同じです。

書きたいことがある、言いたいことがあるとき、それを書くのは楽しいことですよね。

でも、これだけでは読者に声が届かない場合があるわけです。

そこをなんたかしたいなら、「うまい人」の真似をするのが一番。

そして、その「うまい人」っていうのは、あなたの好きなものを書いてる人ってことです。

あなたは好きな音楽について書いていて、あなたの好きな人は漫画を描いている人かもしれません。
そして、あなたは漫画は描けない。

そんな場合でも真似できることはあります。

簡単なのは、好きな人が書いてるもののうちで、あなたも興味のあるテーマを真似ることですよね。

今までは音楽のことしか書いてこなかったけど、この漫画家さんが映画のこと描いてるから、自分も書いてみよう、みたいな話です。

そして、あなたが好きな人の文章を真似てみる。
他の人の目を気にする必要はありません。

フレーズをそのままパクったりするのはやめといたほうがいいですが、書き出しとか、締めとか、決まったパターンを使う人もいますよね。そんなんで、おっ、これはおもろいなと思うのがあったら、ちょっとアレンジさせて使ってみればいいわけです。

そんな小さな工夫から、あなたらしい文章スタイルが生まれてくるわけですから。

☆本の紹介: ☆本の紹介: 「あーす・じぷしー」不思議な双子の物語

紙の上と、ネットの上では、文章の長さとか、意識して変えたほうがいいときもあります。

「あーす・じぷしー」は、二十代の双子の姉妹が、会社をやめて、旅の空の下、自由な暮らしをし始めるまでの自分探し系スピリチュアル実話物語です。

この話は、まずネット上で公開され、今もこちらで、途中までは無料で読めます。
storys.jp


ネットで読むとかなり文章が細切れで、行間がたくさんあり、紙の本の世代にはちょっと読みづらいのですが、そういう文章に慣れ親しんでいる新しい世代の人が多数いるってことは、知っておいて損はないですね、これも。

なお、この本についてはこちらに詳しく書いていますので、気が向いたらどうぞ。
meratade.blogspot.jp

小手先の技ではなく人生を真似る文章術

前節まで書くのに九時まで四時間ほどかかりました。途中ネットで検索したり、すこし横道に逸れてたんですけど。

ほいでですね、
どうせ人を真似るなら、
小手先の技ばかりじゃなく、
人生そのものを真似ちゃいましょうよ、
というのが、この記事のテーマであることが、ここまできて分かりました(笑)。

荒川修作って人のことが最近気になってるんです。

岡本太郎ほどは知られてないかもしれませんが、宮崎駿とも縁のある人だし、ご存じの方はご存知でしょう。

芸術家にして、建築家であり、数年前に亡くなられているのですが三鷹天命反転住宅と養老天命反転地が代表作ということになると思います。水木しげる級にロマンティックなオカルティストです。

で、この「天命反転」というのはナニかという話しなんですが、ここはご本人に語ってもらいましょう。

ちょっと今、修作さんの霊を降ろしますのでおまちください。

からか かかはら からか かかはら からか かかはら うん

では、修作さんお願いします。
(「独特の訛りで饒舌に語る」ということなので、出身地の名古屋のイントネーションで脳内再生願います)

人類が数千年かけて産み出した、哲学も科学も芸術も、全部間違いだ!!
なぜなら、それはみな、人間が死ぬという前提で作られているからだ。
僕が作った家に住めば、人間は死ななくなるんだ。

(第四話「28歳からの荒川修作」 | アパートメントより引用)

で、この「人間が死ぬ」という「天命」を変えて「不死」になること、それが「天命反転」ってことなんです。

なんともオカルトで、なんともロマンティックじゃあないですか。

それでですね、ぼくは、たいていのことは疑って話半分に聞いてるくせに、ちょっと心に響くところがあると、割と簡単に人の影響を受けちゃうところもありまして、今はもうすっかり不死になる気でいるってわけです。

もうそこんところ、もろに人生まねちゃうぞ、みたいな。

で、これは極端な話ですけれど、weblogの書き手についても同じことが言えると思うんです。

ぼくは、はてなでは、wattoさんと、マミーさんと、夜中たわしさんを先輩としてお慕いしております。
お三方とも、ぼくから見たら雲の上的な存在で、
「そこまでたくさんの人に読んでもらうのにどんだけ頑張ればいいのよ」
みたいな状態なのですが、こういう記事を書いてみて今さらのように思うのは、
みなさん、ただ「頑張って書いてる」なんてことはなくて、
「ちゃんと楽しんで書いてる」ってことなんですよね。

もちろん、あれだけの質のものを書き続けるのには、それ相応の努力が必要に決まっているのだけど、その努力が苦にならないだけの楽しみがあるってことですよね。

ぼくみたいに、書きたいという気持ちはあるのに、あたま先行で、書いてるうちにうまく書けない自分にうんざりしたり、思うように読んでもらえないもんで、すぐ投げ出しちゃったりする人間が、これまでのところ何とか書き続けて入られるのは、このお三方に巡り会えたお陰だと思っています。

ということで、気まぐれで飽きっぽいぼくのこと、どの程度きちんと続けられるかは未知数ですが、読者のみなさま、今後ともよろしくお願いいたします。

不死になる日を夢見て、夕日に向かってれっつらごーっ!!

てなことで、みなさん、またね、ナマステジーー。

☆映画の紹介: 死なない子供、荒川修作 [DVD]
「人は死なない」と断言した男と、「死なない家」に住んだ人々の生命の記録。 宇宙創生以来、死の運命から決して逃れられなかった人間の限界に生涯を賭して挑んだ天才・荒川修作を描く!! (amazonより)
ということで、絶対的に面白そうなこの映画、日本に帰ったら、必ず見ます。

☆本の紹介: 塚原 史「荒川修作の軌跡と奇跡」
荒川修作の活動と人生への接近、さらには本人との直接の対話をつうじて、最初期の作品や《意味のメカニズム》などの美術作品から、《養老天命反転地》《三鷹天命反転住宅》などの建築的作品までを紹介しつつ、巨人アラカワの仕事と思想の全貌を描き出す。(amazonより)
これもぜひ読みたいです。

[あとがき: 書き終わったのが朝の十時半、途中三十分ほど休憩したので、これ一本書くのに五時間ほどかかったことになります。タブレットでちまちま入力してるから余計に時間がかかるというのもあるんですけど。いやー、今日はがんばったぞと、昼前からいっぱい飲もうと企んでる危ないとし兵衛です(笑)]

*1:カタカナ語としては「プログ」となりますが、どうもこの言葉の響きが、ぼくにはなじめないんですね。だもんで、かな漢字の中にアルファベットが混ざるという妙な見た目になるのですが、まあ、表現は自由ってことで。

*2:まだ真っ暗とはいえ、朝五時はとうてい真夜中とは言えません。ここでは事実より雰囲気を大事にしてみました

*3:この「ニッポン国」という表現には、ここでは特に意味はありません。なんとなくおもしろい字面として使っているだけです。

*4:はてな記法にルビはないらしいです。これを手作業で入れるのはちょっと大変やなあ

*5:「無料」に呼応して「廉価」という言葉が浮かんだのだが、心がけに忠実に言い替える際「お安い」という言葉を選んだところ文章がよれたしまった。こういう出鱈目をやるとき、読んでる人のことはあまり気にしないのもぼくの文章術の一つか。

*6:うちの母をモデルに新キャラを作ってみました。

*7:うちの奥さんのおかあさんの使った国語の教科書は、この文章で始まっていたとのことです。昭和18年の話だと思います。

*8:インド風に祈りを捧げてみました。