今日はマミー(id:mamichansan)さんのリクエストにお答えし、インドに鍋料理はあるのか、という疑問にお答えしようと思います。

結論から言うと、ないようです(あっさり)。

インドにはヒマラヤの山岳地帯のように相当冬の厳しい地域もありますが、残念ながら、寒い冬に心もぽかぽか温まる、鍋料理の文化は伝搬・発達しなかったものと思われます。

以下、インドに鍋料理が存在しない理由を、極めていい加減に、考察します。


さて、鍋料理の起源はどこにあるのか。

これをまず、特に資料にはよらず、勝手に臆測しますと、やっぱりこれは、中国がかなり怪しいでしょう。

鉄鍋は中国じゃないかなぁ、かなり間違いなく。中国のことはよく知らないので、どこの地方とかいうのは、やめておきますけども。

中国には火鍋という、見るからに辛そうで、食べたらほんとに辛い、真っ赤なとうがらし鍋があります。しかも油ぎとぎと。これは鉄鍋。

むかし中国の雲南省の街で、これを食べたところ、辛いのは得意なので問題なかったのですが、油にやられて食べてすぐに腹を下したことがあります。

海外旅行の際、水や氷に気をつけろ、と言われますが、ぼくの経験では、油が断然あぶないです。

そして、土鍋もいいですよね。日本で鍋といえば、まずは土鍋でしょうか。いや、そんなことはないか、地方によるでしょうね、たぶん。

中国では砂鍋といいます。これは、一人用の小さな鍋をよく食べました。随分前なので何が入っていたかよく思い出せませんが、とにかくやすくておいしかったことだけが記憶に残っております。

とまあ、勝手に鍋の起源は中国と決めたところで、韓国、日本には順調に鍋料理が伝わり、また、タイ、マレーシアなどでも砂鍋はよく見かけます。
しゃぶしゃぶの鍋も使ってますよね。

しかし、どうしてインドに鍋は伝わらなかったのでしょうか。

ちなみに、ヒマラヤの北側チベットには、ギャコックという鍋があるようです。きのこのだしということで、日本人好みかも。

ここで、インドにおける中華料理の影響を考えますと、イギリスの植民地化と関係があるのか、はたまたチベット、ネパールなどを経由してのことなのか、インドの屋台料理には、やきそば、やきめし、そしてそれらの餡かけなどといった中華風の料理はわりと普通にあるんですよね。

見た目に騙されて、普通の焼きそばのつもりで食べると、唐辛子味で辛くて食べられない、といったこともありうるので、要注意ですが。

また、モモというチベット、ネパール風の、中華まんじゅう、ないし、餃子的な食べ物も見かけます。

きのう、ひさしぶりにモモを食べました。大きさや質感は小籠包に近いでしょうか。ベジタリアンで具は野菜だけのものを、唐辛子の辛いタレでおいしくいただきました。

ところで、そもそも、鍋とはいったいどういう食べ物なのかを考えますと。

じっくり考えだすとめんどくさくなるので、簡単に結論だけでいきますが、鍋料理とは、大鍋でみんなと食べる、具と汁、その汁にご飯や麺を入れて楽しむのも嬉しい食べ物、とでもしておきましょう。

このとき、インドにおける対抗馬はといえば。

カレーです。

日本人からしたら、インドにはカレーしかない、とすら思われている、究極のインド料理。

ちなみにカレーというのは、南インドはタミル語でカリーというのが汁料理のことなんですね。

インドの食堂では、こうした汁っぽい料理を、小分けできるように区切られた大皿(ターリーと呼びます)に何種類か乗っけて、チャパティやナン、そしてご飯と一緒に食べます。このセットの定食自体もターリーと呼びます。そして給仕さんがお代りを追加で持ってきてくれたりするのも普通です。

とまあ、そういう食堂では、鍋料理はちょっと馴染まない。屋台でもまあ無理。家でそんな外来のものを食べるわけもない。

というような事情で、ターリーと呼ばれる大皿料理にはばまれて、さすがの鍋将軍も天竺へと攻め入ることには、たたらを踏む結果になったものと思われます。

ですから、カレー鍋が食べたい方は、間違ってカレーの本家・インドにいらっしゃったりせず、どうか鍋の元祖・日本で探して召し上がってください。

以上、今回は、なけなしの食への好奇心を振り絞って、インドの鍋事情を考察してみました。

それでは、みなさん、またねーー。