山田正紀「地球・精神分析記録(エルド・アナリュシス)」


心理学的冒険sf。


今から三十年ほど前、中学生の時に読んでさっぱり分らなかったが、帯の惹句
「狂っているのは私なのか、それともこの世界なのか」というのが忘れられず再読した。


いささか古めかしいし、若書きの感は否めないが、日本sfの源流を探るためには
外せない連作長編だろう。


二番目の短編「憎悪 オディウス」のインドの街ヴィシュの設定は、「ブレードランナー」や
ニューロマンサー」に先駆ける雰囲気が感じられ、海外放浪の経験を持つ山田正紀ならではと
思う。