以前森下一仁氏の weblog で見かけて気になっていた
山田正紀「オフェーリアの物語」理論社 2008
を読んだ。


森下氏の言葉を引くと

明治維新後の理性が支配する日本と、それ以前の夢想がそのまま現実と溶け合っていた日本とを
不思議な言語理論で対比する意欲的な作品

ということになるが、その対比は、西洋と東洋、現実と夢、言葉と言葉以前、さまざまな
形として描かれている。
ぼくはついカスタネダトナールとナワールを思い出してしまうのだが、この対比がとても
本質的なものだということですよね、つまりは。


維新前後の日本だけれど、どこか幻想の場所のような、そうした舞台設定の上で、
小さな女の子の人形使(にんぎょうし)とビスクドールを主人公に据え、異形の世界の奇妙な
植物も盛り沢山(消粟[けし]が一番気に入りました)、謎解きミステリの形をとった
このアクション哲学マンガ、きちんと終わっていないのがなんとももったいないので、
ぜひ続編を期待したいところです、はい。