フロリンダ・ドナー「魔女の夢」近藤純夫訳、日本教文社1987

この本は、カスタネダのお仲間である女性人類学者フロリンダ・ドナーが、
ベネズエラで女治療師のもとに住み込むことになり、その経験を縦糸に、
そして、その女治療師のところに訪れる「患者」から聞くエピソードを
横糸に紡がれた物語である。

ここには、人間が他の人間ににどういう影響を与えうるのか、ということが鮮やかに
描かれている。
カスタネダの著作より文芸的な完成度は高く、ホルヘ・ルイス・ボルヘスや、ガルシア=マルケスにも近い、南米のねっとりとした人間関係が感じられて面白い。

あいにく絶版のようで入手は困難だが、図書館で探してでも読んでほしい本である。

フロリンダ・ドナー「魔女の夢」近藤純夫訳、日本教文社1987

☆なお、フロリンダ・ドナーの「シャボノ」というアマゾンの奥地に住む先住民族ヤノマミの暮らしを描いた作品があり、ヤノマミの人々の原初的・魔法的な世界観が、すばらしい筆致で心動かされる物語として紹介されている。冒頭の一部の私訳を公開しているので、よろしければご一読を。
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