湊由美子「ゆみペンギン南の島で」東京図書出版会 2008


ゆみペンギンこと湊由美子さんはタイの島サムイでダイビングショップを
経営している京都出身の女性である。
この本はそんなゆみペンギンさんのダイビングインストラクター修業時代
記録である。


ヴァヌアツ共和国エスプリッツ・サント島での、
水深40m以上の沈没船ダイブと、
サメに襲われても続行する、サメの餌付けダイブ。
この二つはダイビング本としてのこの本のハイライトである。
危険というものが商品になってしまう現代社会の不可思議さを感じる。


ダイビングインストラクター修業時代の記録と書いたが、ダイビングにまつわる
エピソードは、上のヴァヌアツの話でほとんどで、あとはニュージーランドでの
語学留学の様子と、そのあとのニュージーランド、オーストラリア、そして
タヒチニューカレドニアを巡る旅の記録であり、そう言う意味ではよくある
旅日記の形式でしかない。


しかし、中身はおもしろい。
一つにはゆみペンギンさんがあまり下調べをせずに状況の中に飛び込んでいく
ために起こるハプニングからくるものだろう。
羊を飼っている牧場でファームステイをしたいと思い、情報誌でようやく
受け入れてくれる牧場を見つけ、やっとのことでその牧場に辿りつく。
ところが、そこで待っていたのは牧場の仕事ではなく、なまけものの主婦が
散らかし邦題にしている家の片付けと掃除だった...


そして、こうしたハプニングに対するゆみペンギンさんの、これはまいった!
と思いつつも健気に大らかに向き合っていく、その姿勢がすがすがしくも
気持ちよい。


笑えるエピソードがいっぱいで、その前向きな生き方からは毎日を生きる力
分けてもらえること間違いなしの、旅好きの人には是非おすすめの一冊です。


なお、ゆみペンギンさんのやっているペンギンダイバーズのホームページは
こちらです。