言葉の力について考えてみた。


話す言葉で考えると、言葉は音であり、エネルギーを持っている。
そして、ある人の口によって発せられた音は、別の人の耳に働きかけ、
その人の神経系の状態に影響を与える。
というわけで、ある人の発した言葉は、別の人に物理的に働きかける。
それが言葉の基本的な力だ。


ところで、言葉には意味というものが伴うと考えられていて、
ある人が言葉を聞くと、その人の頭の中にはその言葉の意味が
浮かぶ、というふうに考えられている。


さて、言葉と意味の結びつきは人それぞれなので、ある人が
なにげなく発した言葉が、別の人に強烈な怒りを引き起こすことも
あるし、あるいは、ある力のある人が発したさりげない言葉が、
相手に強烈な呪縛を与える、といったようなことも日々起こっている。


このようなことを考えれば、言葉が持つこうした力を言霊(ことだま)と
呼び神秘的な力を持つと考えることは間違ったこととはいえない、
という以上に、理解のしやすさからいって十分役に立つものと思える。


というような文脈において、すべての言葉は呪文であり、呪いであり、
寿ぎ(ことほぎ)である。
人の呪文に縛られず、人を呪文で縛ることなく、この世界の流れの中、
自由に泳いでいければ理想である。