05.一回ごとに新しく動きをはじめる
さて、前々項、前項で、あお向けに横たわり自分の体の様子を確認してみたわけ
だが、この項では実際に体を動かしてみる。では、引用を。
([]内は、那賀乃の注釈)
○一回ごとに新しく動きをはじめる
もう一度横たわり、先ほどと同じように両腕両脚を伸ばす。たぶん今度は、
すくなくとも手の甲は床につき、肘と前腕もまたつくかもしれない。そこで、
肩の動きだけを使って、右の上腕を持ち上げ、手の甲がちょうど床から
はなれる程度まで、ゆっくりしたできるだけ小さい動きをする。それから
腕を床におろしてそのまま休む。ふたたび手の甲がはなれるまで腕を上げる。
これを20〜25回[はじめのうちは10回ほどでよい]くりかえす。腕を一度上げ
下げしする毎に完全に休止をおき、すべての動きをやめること[したがって
一旦体から力を抜くことになる]。次の動きは、完全に新しい別の動作になる
ようにする。
○呼吸と動きを一致させる
細かい注意を払うと、持ち上げようとして腕を伸ばすとき、手の甲が床に
そって少し這うような動きをはじめるのに気がつくだろう。動きを何度か
くりかえしていると、動きが呼吸のリズムと一致してくるのがわかる。腕を
伸ばして持ち上げるときは、肺から息が吐き出される瞬間と正確に一致する
ようになる。
○休息して観察する
25回の動きが終わったら、両腕をゆっくりからだの両脇にもってくる。この
動きは少しずつ行うこと。急いでやると、動かしていた方の肩を痛めることが
ある。膝を立ててしばらく休息をする。休息のあいだに、からだの左側と右側に
どんな違いを感じるか、よく観察しよう。[引用ここまで]
上の引用の通り、動きは単純で小さなものである。ラジオ体操のようなつもりで
行なうと、つい、ただ体を動かすだけになってしまいがちだが、そうならない
ように気をつけ、自分の体がどのように動いているかに十分注意しながら体を
動かしてほしい。
はじめのうちは体の動きに意識を向けることが難しく感じられるかもしれないが、
体をゆっくり動かす中で無理のない範囲で自分の体の様子を感じてみよう。
引用文に書かれている通りには感じられないかもしれないが、それはそれでよい。
わたしの場合も、呼吸と動きは必ずしも一致しないが、それでもこの単純な動きを
繰り返すことで、少しずつ余分な体の力が抜けていくのが感じられる。
自分のペースで楽しみながらやってほしい。
このあとは5〜6項にわけて体の動きについて書く予定である。
すこしずつ繰り返して、のんびり付き合っていただきたい。
(ネタ本は「フェルデンクライス身体訓練法―からだからこころをひらく」です)