02.トーヌスについて
この項では、フェルデンクライスの考え方をもう少し説明してみる。
まずは「フェルデンクライス身体訓練法」から引用(123ページ)。
このレッスンでは、随意筋のコントロール機構の基本的な諸特質の
いくつかが見分けられるようになるだろう。筋肉の基本的トーヌス(張力)、
すなわち、意志によって活動させる前の筋肉の収縮状態を変化させるためには、
ゆっくりとした軽く小さい動きをおよそ三十回くらいくりかえすだけで
よいことがわかるだろう。ひとたびトーヌスに変化が生じれば、それは、
最初に動かした部分を含むからだの片側全体に広がることになる。動作は
楽に行えるようになり、動きは軽やかになり、そのときには、からだの
中心部の大きい筋肉が大半の仕事を行い、四肢は力の働く方向へ骨を導く
だけとなっているのである。
フェルデンクライスでは筋肉のトーヌス(張力)というものに注目する。静止した
状態にあるときの筋肉の収縮、ないし緊張の状態のことである。
習慣的、無意識的に筋肉が余分に緊張していると、楽な動きができなくなるので、
単純な動きを繰り返すことで、この緊張を取り除き、トーヌスを変化させる
ことで、動作を改善する。
その結果、骨盤につながる大きい筋肉が主に動作に使われるようになり、四肢の
筋肉は余分な仕事をせず、方向を調整する本来の目的に専念できるようになる。
次の項では、トーヌスがどうなっているか、自分の体で確かめてみることにしよう。
(ネタ本はこちら。「フェルデンクライス身体訓練法―からだからこころをひらく」)