この世界の完璧さについて
この世界は完璧である、と言ったら、何をバカな、と思われるだろうか。
多くの人は、こんな世界ちっとも完璧じゃない、と思うかもしれないし、
ぼくにしたって、何て奇妙で、わけのわからない世界なんだ! と
ついつい思ってしまうのも現実である。
けれどもぼくは、にもかかわらず、この世界は完璧である、と
思うことにしたいわけなんです。
所詮この世はまぼろしであると受け止めるにしても、そのまぼろしにも、
不思議な因果律が働いているようで、それは、ただ混沌というだけとは
思えない。
たぶんそれは、ぼくらにその法則がうまく見えないだけのことで、その
不思議さの中に、この世界の完璧さがあるのだろうと。
完璧だ、といっても、だからこの世界が今のままで十分だ、と言いたい
わけではない。
今のところ、これが実現可能な最大限なんだろう、というくらいのことで、
その「今」に内在している様々な可能性が、刻一刻と生まれてくる、
そんなふうにして変わりつづける力を持っていることこそ、この世界の
完璧さなんだと。
もちろん、人間の愚かさに端を発する、解決のつかない問題を数え上げれば
切りがないわけだけど、それはそれで見ないふりをするんじゃなく、
きちんと受け止めて、つまり、それを誰か他のひとのせいにするんじゃなく、
そうしたことと、自分の中の愚かさとのつながりを恐れずに見ようとするとき、
愚かであるままの完璧さと、愚かしさを流していくための変化への力が、
そう、確かに立ち現れてくる...
そんなふうに考えてぼくは、その世界の完璧さを信じることにするのです。