「エスリンとアメリカの覚醒―人間の可能性への挑戦」W.T.アンダーソン著、伊藤 博 訳、誠信書房1998
1960年代から1980年代へかけての esalen institute の記録。
日本ではエサレン研究所として紹介されているが、ニューエイジ的セミナーハウスとでも
呼ぶべきか。
ビート、ヒッピー、サイケデリクス、人間性心理学。
アメリカの西海岸的文化状況の流れに関心のある人には面白いかも。
門 眞一郎氏の記事「キングズレイ・ホール異聞」。
r.d.レインらが運営していた治療をおこなわない「治療」共同体、キングズレイ・ホールについて書かれている。
レインらがしていたことと合わせ、その日本での紹介の様子も書かれ興味深い。
「哲学者というならず者がいる」中島義道、新潮社2007、1365円
最後の二節、「先生、自殺していいですか?」「先生、自殺していいですか?(承前)」は、
死にたい、と思い詰める人間が、身近にいるときに、人はどう対処できるのか、
その限界と可能性が、ひしひしと迫ってくる筆致で書かれていて共感できる。
ここのところ、気持ち的にくたびれているので、
しばらくこのページの更新は休みます。
とりあえず、三月いっぱいは休みということで、
よろしく。
「スローブログ宣言!」鈴木芳樹(技術評論社)
weblog というメディアは、個人が気軽に情報を発信できるという意味では、なかなか使えるメディアである。
しかし、これを単なる日記以上の、読めるものとして書いていこうと考えると、途端に一筋縄ではいかないことに気づくことになる。
「スローブログ宣言!」は、そのへんのところに関連して、著者の経験をもとに、ある適当な距離の取り方で weblog とつきあう方法が書かれていて、なかなか興味深い。
「がりがりマネタイズしよう」というのではなく、「のんびり楽しくブログを書いていきましょうよ」という感じの本です。
わたしのこの weblog もまだまだ読めるものになっとりませんが、これからボチボチがんばりたいと思います、はい。
「斎藤一人のツキを呼ぶ言葉」清水克衛(三笠書房・知的生き方文庫)
この本は、清水克衛という本屋の店主が、銀座まるかんの斎藤一人の言葉について
書いたもの。斉藤一人は、ダイエット食品「スリムドカン」などを売って、節税
しないもんだから長者番付トップになるような商売上手。
だから、この本は、「金持ちになるためには」みたいな雰囲気で書いてあるんだけど、
どっちかというと、それはよこちょの話で、人生こんなふうに生きた方が楽しいよね、
っていうことが中心になってる。
二百ページちょっとの文庫本だけど、ちゃんと読んでちゃんと実践すれば、これだけでも
ずいぶん人生楽になるかもって本です。
いよいよ、フェルデンクライス入門編の最終回である。
今までの項では体の右側だけを動かしてきたわけだが、この項では同じ動きを体の
左側で繰り返し、さらに両側を合わせた動きを練習する。したがって文章の量は
今までより少ないが、体を動かすのに要する時間は、今までが半分弱で、この項が
半分強ということになるので、ご注意を。
なお、この一連の練習に要する時間として、フェルデンクライス自身が目安として
あげているのは、慣れないうちは45分くらい、慣れてくれば20分くらいという数字
だが、人それぞれのペースによって変わってくるものなので、自分なりに気持ち
よくできるよう工夫してほしい。
それでは引用を([]内は、那賀乃の注釈)。
○左側の動き
今までこのレッスンでくわしくのべたすべての動きを、からだの左側でくり
かえす。
[参照 「あお向け・右腕の動き」「うつ伏せ・右腕の動き」「あお向け・右腕と右脚の動き」
「うつ伏せ・右腕と右脚の動き、そしてうつ伏せと仰向けで右腕・右脚・頭を同時に動かす」]
○対角線の動き
からだの左側を使った動きが終わったら、右腕と左脚を一緒に、できるだけ
ゆっくり持ち上げ、この動きを25回[はじめは10回ほどでよい]くりかえす。脊椎骨と
肋骨の相互の位置関係の変化を観察し、からだの床につく部分が、片側の腕と脚を
一緒に上げたあとに確認した部分とは全くちがっていることをよくつかもう。
少し休息したあと、左腕と右脚を一緒に25回[上と同じ]持ち上げ、終わったら
休息する。つぎに、両腕と両脚を頭と一緒に、吐く息に合わせて持ち上げる。この
動きも25回[上と同じ]くりかえす。休息をとったあと、頭は床につけたまま、両腕
両脚だけを持ち上げる。
最後にあお向けになり、このレッスンの一番はじめにしたように、かかとから
頭まで、床に接触しているあらゆる部分を観察しよう。生じた変化を、とくに背骨に
そってよくつかむこと。
さて、ここまでの練習を実際にやってくれた方には、はっきりと分ることと思うが、
単純な動作の繰り返しを、その動きにしっかり注意を向けながら十分な回数行う
ことで、確かに体のあり方が変わってくるのである。ふだん無意識のうちに緊張して
体に不要な力が入り、あるいは長年の癖で体が縮こまったり固くなったりして
しまっている、そういった状態が我々の間に見られるごく普通の姿なのだが、その
不必要な力が抜け、縮こまっていた体がすっと伸びて足取りも軽くなる。これが
私がフェルデンクライスをやってみての実際の感想である。
ただし、一人でやっているとなかなかそこまでは行けないのも事実で、この練習法に
興味を持たれた方は、一度実際にレッスンを受けてみるのもよいだろう(たとえば
こちらのページ参照。一回二時間3000円なのでそんなに高くはないですね)。私自身は
正規のレッスンを受けたことはないが、知り合いが芝居の稽古に取り入れており、
そこで何人かの仲間とともに動きの指示を受けながらやってみると、これがなかなか
感じがよいのである。
また、それほどしっかりやらなくても、それ相応の効果はある。私の場合、寝床の
中で、手はお腹の横に普通において寝て、肩だけ持ち上げたり、膝だけ持ち上げたり、
適当にアレンジしてやっているが、それでも十分なリラックス効果を感じる。気が
向いたときに自分のやりたいようにアレンジしてやってみるだけでも、続けていく
うちにあなたの体に対する意識は確実に変わってくるだろう。
今回取り上げた部分はネタ本のうち、ほんの10ページほどにすぎないが、たった
これだけの中にも様々なヒントが詰まっている。それを生かすも殺すも結局は
あなた次第である。
というわけで、このページが少しでもあなたの役に立ちますように、そして
あなたの毎日が少しでも楽しいものになりますように!
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前々項ではあお向けになって右腕と右脚を同時に持ち上げる動きを試み、前項ではその
動作によって取り除かれるはずの普段の余分な筋肉の緊張と背骨の縮みについて解説
した。
この項では、まずうつ伏せになって右腕と右脚を持ち上げてみる。では引用を。
([]内は、那賀乃の注釈)
○どうすれば楽に動けるか
うつ伏せになり、両腕を頭上に伸ばして開く。両腕もひろげる。ゆっくりと右腕と
右脚を一緒に持ち上げる。腕と脚を上げるとき、頭の位置に注意しよう。右を向いて
いるか、左を向いているか、それとも真下を向いているか。さて吐く息に合わせて、
腕と脚を持ち上げる。まず右頬を床につけて、つまり左側を向いてこの動きを数回
くりかえす。つぎに頬を床につけて、最後に左頬を床につけて、同じくくりかえす。
この三つの姿勢のときに必要な力の量を比較し、どの姿勢が一番やりやすいかを
判断する。多少とも調整がうまくできているからだならば、左の頬を床につけたときが
一番楽な姿勢になるだろう。動きを25回くらい[はじめのうちは10回ほどでいい]くり
かえし、床にかかるからだの圧力が、胃の左側の胸と骨盤の間に移動するのが次第に
はっきりしてくるのに注意しよう。
うつ伏せのまま、さらに右腕と右脚を先程と同じように持ち上げる動きを続けるの
だが、今度は、動きに合わせて頭も持ち上げ、手の動きを目で追うようにする。25回
[前述と同様]くりかえしたあと、あお向けになって休息をとる。次は、あお向けの
まま、いまと同じように頭と一緒に右の腕と脚を上げる動きをくりかえす。練習前に
くらべて、床に横たわるからだの状態がどう変わってくるかに注意を向ける。一番
強い力がかかるのはどこか正確につかもう。25回[前述と同様]この動きをくりかえして
から、休息する。
○どちらの眼の開きが大きいか
立ち上がってしばらく歩きまわり、からだの右側と左側の感覚のちがい、両腕の長さの
はっきりとしたちがい、両脚の長さのちがいを確かめよう。次に顔を調べてみよう。
鏡を見ると、顔の半分が生き生きして、そちら側のしわやひだが目立たなくなり、一方の
眼がもう一方の眼より大きく開いているのがわかる。どちらの眼だろうか。
今までそれぞれの動きのあとに行った点検のときに、からだの片側の腕と脚が、反対
側の腕と脚よりもだんだん長くなってくることに気がついていたかどうか思い出して
みよう。からだの左右の感覚の差異を抑えつけようとせず、できるだけ持続させ、次第に
弱まって最後に消えてゆくまで観察を続けよう。悩み事とか極度の緊張のような注意力を
乱す妨害に出会わなければ、この差異は相当長時間、すくなくとも数時間ははっきりと
残る。その時間のあいだ、からだのどちら側の働きがよく、どちら側の働きがなめらかに
できるか観察しよう。
さて、この項ではまずうつ伏せになって顔の向きを吟味するわけだが、真下を向いて額を
床につけるのは鼻が邪魔になってかなり苦しい姿勢に思える。こうするかわりに顎の下を
床につけて顔は水平方向に真正面を向いた方が楽かもしれない。
また引用では左頬を床につけ右に顔を向けるのが一番楽なはずと書いているが、わたしの
場合、たぶん首から肩にかけて余分な凝りがあるせいだろう、その向きだと首に無理な
負担を感じてしまう。書かれていることを鵜呑みにせず、自分の体に合わせて試してみて
ほしい。
そして、この項のもうひとつのポイント、そしてある意味でフェルデンクライスの最大の
特長とも言えるところだが、ここまで体の右側だけを丁寧に動かして、その変化を見て
きた。今回の一連の練習では、ここまでで右側の練習は一通り済んだことになる。ここ
までの練習が終わったら、ゆっくり立ち上がり、そしてゆっくり歩きながら自分の体の
様子をじっくり確かめてみてほしい。あなたが体の感覚に敏感ならば、右側と左側の
違いが劇的に感じられるだろうし、そうでなくても多くの人がいい意味でなんらかの
感覚の変化を感じることだろう。
このフェルデンクライスの入門編もいよいよ次回で最終回である。
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