*魂の次元* (by としべえ)

肩から力を抜いて、自由に楽しく生きる。

女は13歳、男は14歳で音楽の好みが決まるという「伝説」に挑戦しました - あるいは、FNMNLさん、そりゃまた「誤報」でんがな!

ツイッターで、

  • 大人になってからの音楽の好みは14歳の時に聴いた音楽で形成されている

という情報を目にしたぼくは、

「これは怪しいぞ」

と思いました。

何が怪しいって、ぼくの好みは14歳のときになんか、絶対決まってませんから。

確かに当時耳に入ってきた、ピンクレディーの「UFO」や山口百恵の「秋桜」、そしてキャンディーズの「微笑がえし」といった歌謡曲は、いつまでも脳裏に焼きついたままでしょうが、ぼくの音楽の好みは高校時代に形成されて、そのあとも変わり続けていますから。

というわけで、今回のお題は、

  • 女は13歳、男は14歳で音楽の好みが決まるのか?

です。

[:contents]

女は13歳、男は14歳で「音楽の好み」が決まるのか?

今回の話題のネタ元、FNMNLの記事
大人になってからの音楽の好みは14歳の時に聴いた音楽で形成されている - FNMNL (フェノメナル)
には、

私たちの音楽の好みは14歳の時に聴いた音楽によって形成されていることが、新たな研究により明らかになった。

とあるのですが、この書き出しからしてデタラメです。
(FNMNLさん、がんばれ!)

FNMNLが紹介している元記事は、NY Times の
The Songs That Bind - The New York Times
というものなのですが、タイトルの意味は「心に刻まれる歌」ぐらいの意味ですね。

こちらの記事を書いているのは、セス・スティブンス=ダヴィドウィツ Seth Stephens-Davidowitz というグーグル勤務の経歴を持つビッグデータが得意な人で、Spotify から提供されたデータをもとに今回の分析を行なっています。

以下、セスさんの元記事を参照して、

  • 女は13歳、男は14歳で「音楽の好み」が決まる

ということの意味を説明していきます。

女は13歳、男は14歳で「音楽の好み」が決まる人が多い

結論からいうと、

  • 女は13歳、男は14歳で「音楽の好み」が決まる人が一番多かった

というシンプルな話です。

この分析に使われたのは、Spotify のすべての楽曲について、どれだけの頻度で聴かれているかを男女別、年齢別に分類したデータです。

NY Times のサイトよりお借りした次の画像を見ると、女性は13歳が最多で、11 - 14 歳の4年間の影響が大きく、男性の場合それより少し遅くなり、14歳が最多で、13 - 16 歳の4年間の影響が大きいことが分かります。

これは、女性のほうが、思春期に入る年齢が早いことと関連しているのでしょう。

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また、グラフの分布を見ると、女性は男性に比べて、年齢の若い左側が盛り上がった形で、年齢の高い右側が急に落ちてからなだらかになっている様子が見て取れます。

女の子は「おませさん」で、子どものうちに「好み」が決まりやすく、少年はむしろ、大人になるにつれて「好み」を選んでいく傾向が強いということになるでしょうか。

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以上のことをセスさんは、

音楽の好みが、生まれた年だけで決まるなんてことは、もちろんありません。とはいえ、世代によって好みが大きく違ってくるのも事実です。

と説明しています。

その上で彼は、自分の好みが「同世代の音楽」ではなく、もっと古いものであることを明かして、

「ぼくのヘンテコな趣味はどこからやってきたのかなあ?」

ととぼけた調子で記事をしめくくっています。

さて、あなたの音楽の好みは、「同世代」型ですか? それとも「例外」型ですか?

「多数派」と「例外派」の視点でデータを読み分ける

今回のようなデータが紹介されると、

「音楽の好みは14歳のときに決まるんだって」

というような話が広まることになりますが、これは「多数派」の人にとっては、自分も大体そうだし、周りの人も大体そうだし、

「確かに事実だな」

ということになります。

ところが、統計的なデータには必ずばらつきがありますから、「多数派」以外の「少数派」の人たちから見れば、

「いや、そんなことないよ」

という話にもなります。

また、「少数派」の中には、さらに極端に中央値から離れた「例外派」とでもいうべき人たちもいて、今回の例で言えば、

  • ものすごく小さい時に好みが決まってしまった「早熟」型
  • ずっと大人になってから好みが決まった「晩成」型
  • 好みが変化し続ける「不定」型

といったパターンが考えられます。

また、 13 - 14 歳で好みが決まりやすい原因は、思春期に人間の情動が大きく発達し、変化をとげるためだと考えられますが、同時に「多数派」の人たちは、耳に入ってくるものを「素直に受け入れる能力」が発達しているというふうにも言えそうです。

逆に言えば、「少数派」や「例外派」のあなたは、「多数派」に同調しない能力にすぐれているということにもなります。

アーリーアダプターという言葉に象徴されるように、「例外派」の行動の中からこそ、時代の新しい波は生まれてくるのですが、「例外派」の行動が必ず「新しい波」につながるわけでないのは、言うまでもないことです。

「多数派」と「少数派」の違いは、そのかなりの部分が生まれと育ちからくる「資質」の違いにあるのですが、どちらがいいとか悪いとかいう話ではありません。

以上、同世代の音楽でも、大昔の音楽でも、あるいは新世代の音楽でも、なんでも楽しめる「不定」型の音楽ファンであり続けたいと思う、とし兵衛がお送りしました。

それではみなさん、ナマステジーっ♬

☆こちらの記事も FNMNL の音楽ネタです。よろしければどうぞ。

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